研究課題/領域番号 |
19K22646
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
植木 伸也 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (30837258)
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研究分担者 |
後藤 了一 北海道大学, 大学病院, 助教 (10645287)
財津 雅昭 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (20768981)
渡辺 正明 北海道大学, 医学研究院, 特任講師 (40789848)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 記憶T細胞 / マウス心移植 / CD3抗体 / TCF-1 / 免疫寛容 / 臓器移植 / 免疫記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、免疫記憶を原因とする拒絶反応の選択的制御による免疫抑制の個別化を目的としている。現状の免疫抑制では免疫記憶の制御と免疫寛容の誘導との両立は非常に困難である。近年、ATP受容体であるP2X7Rの阻害により免疫記憶の主体であるmemory T細胞を選択的に抑制できる可能性が指摘されている。本研究ではマウス心移植系を用いて、P2X7Rの阻害によるmemory T細胞の選択的阻害効果と拒絶に対する影響についての基礎的検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では臓器移植における免疫寛容誘導の障害となるドナー抗原に対する免疫記憶に関わる記憶T細胞の個別制御を目的としている。抗CD3抗体は、発症前よりも発症後の投与の方が治療効果が高いことがこれまでの1型糖尿病発症モデル、自己免疫性脳脊髄炎で確認されている。移植モデルでも移植後3日目の投与で免疫寛容の誘導が以前の報告、今回の我々の検討でも確認できた。しかし、アロ皮膚移植により抗原に感作させたマウスではその効果が確認できなかった(n=5, MST 5日で速やかに拒絶される)。そこで2021年は以前の免疫寛容誘導プロトコールに代わる、効果的な治療プロトコールとして抗CD3抗体を移植後1日目に投与する方法論を検討した。その結果、移植後1日目から抗CD3抗体を投与する場合、著明なグラフト生存期間の延長がみられた(MST=18日 p<0.01)。また、以前感作マウスに存在するアロ攻撃性の記憶細胞としてTCF-1lowPD-1hiCD8陽性T細胞が関与する可能性を示したが、グラフト保護効果のある細胞集団として、グラフトの浸潤細胞にTCF-1 high CD8陽性のリンパ球集団が増加していることが確認された。この結果は感作されていないマウスにおける免疫寛容誘導効果でもみられており、この細胞集団がCD3抗体投与によるグラフト保護効果に関与している可能性が示唆された。また既報からeffector T細胞へは分化しない、exhausted T細胞のprogenitor細胞のマーカーとして知られるly108がこれらのTCF-1陽性細胞に増加していることが分かった。この研究成果をまとめて論文投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染や濃厚接触、また感染後の後遺症などにより、思うように研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
アロ抗原特異的攻撃リンパ球であるTCF-1lowPD-1hiの集団を抑制するために移植直後の自然免疫、また冷阻血中の炎症反応の抑制を行うことが、更なる免疫寛容誘導に有用な可能性があるため、それらをターゲットとした治療法による効果を検討する。
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