研究課題
挑戦的研究(萌芽)
Muse細胞は免疫抑制剤の投与が無いにも関わらず、レシピエントの傷害組織内において機能的な分化細胞として半年以上生存が維持される。予備実験においてドナー由来Muse細胞を予め血管内に投与すると骨髄にホーミングし、それに続き同一のドナーの組織を移植すると、免疫抑制剤が無くても拒絶を免れ長期間生着する。従ってドナーMuse細胞を予め点滴で投与しておけば、血縁者やHLA適合の臓器でなくても免疫拒絶を受けずに長期間移植臓器が生着可能となることを示唆する。本研究ではMuse細胞の免疫調整能を検証し、動物移植モデルにおいて「血縁者やHLA適合から解放される新しい移植医療システム」が構築できるかを探索する。
Muse細胞は免疫特権を持つ生体内多能性幹細胞で、HLA適合や免疫抑制剤を必要とせずドナー製剤を直接患者に点滴することで治験が行われている。兎でドナーMuse細胞を事前に血管投与し免疫抑制剤を使わずに同一ドナーの皮膚片を移植すると4週まで生着が確認された。B6マウスMuse細胞を事前にBALB/cマウスに血管投与し、B6骨髄細胞を移植すると20週で造血幹細胞生着が確認され、免疫抑制に関わるMDSCが骨髄から動員されて胸腺や脾臓に集積し、Tregの骨髄内での増加や脾臓での集積を確認した。本機構を利用することでドナーを選ばずに細胞や臓器の移植が可能になることが示唆される。
Muse細胞には、傷害部位で修復に当たったMuse細胞を排除しないで長期間受容できるように、骨髄でレシピエントの免疫系に作用する機構がある。という推察が実証されれば、画期的な医療の変革が可能となる。それは、健常ドナーのMuse細胞を臓器移植の前に予め患者に点滴し、その後臓器移植を行えば、免疫拒絶もなく長期間臓器がレシピエントの体内で維持できるということを意味する。現在の移植医療では、血縁者やHLAの合致を前提とするが、ドナーMuse細胞の事前の点滴を行うことで移植医療をこれらの条件から解放することができる。移植医療ではドナー不足などの問題があるが、その解決にも大きく働く可能性が期待される
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