研究課題/領域番号 |
19K22663
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 雅史 九州大学, 医学研究院, 教授 (30372741)
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研究分担者 |
寅田 信博 九州大学, 大学病院, 臨床検査技師 (00398075)
岩本 千佳 九州大学, 大学病院, 特任助教 (10752842)
藤田 逸人 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40611281)
森山 大樹 九州大学, 大学病院, 准教授 (70586859)
三好 圭 九州大学, 大学病院, 助教 (70755272)
大内田 研宙 九州大学, 大学病院, 講師 (20452708)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 膵癌 / オルガノイド / partial EMT / collective invasion / 膵星細胞 / エピジェネティック / 上皮間葉転換 / クラスター浸潤 / 微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
EMTは癌の浸潤・転移に重要であるとされ、世界的に幅広く研究されているが、実際にはEMTでは説明できない転移、浸潤形式が多く存在する。最近ではEMT後にMETをきたす上皮可塑性が注目されており、これは癌細胞のみでの現象ではなく、癌細胞のエピジェニック調節の変化により起こりうると考えられる。しかしこれを検討した報告はない。癌における表現型可塑性の一端はエピゲノムが担っており、そのエピジェニック調節の変化は微小環境変化が影響していると考えられ、3次元共培養モデルを用いることで癌周囲微小環境の変化と癌細胞の表現型可塑性の関係解明が癌の浸潤・転移機序の解明に寄与し得る。
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研究成果の概要 |
本研究は、ヒト膵癌オルガノイドを用いた共培養モデルを作成し、partial EMTによるクラスター浸潤機序の解明及び制御を目的とした。ヒト膵癌組織から膵癌オルガノイド及び膵星細胞の樹立を行い、独自の三次元共培養モデルを作成することで形態変化および浸潤をリアルタイムで観察した。その結果、分化型膵癌オルガノイドは膵星細胞の有無によってその形態およびEMT関連遺伝子の発現を変化させており、膵星細胞の有無といった外的要因によって影響を受けるpartial EMTの状態であり、一方で外的要因に左右されず恒常的にEMT関連遺伝子の発現が高い低分化型膵癌はcomplete EMTの状態であると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵癌の予後を規定する癌浸潤メカニズムを解明するために、partial EMTによるクラスター浸潤機序に着目して研究を行い、上皮可塑性をもたないcomplete EMTをきたすか、クラスター浸潤するpartial EMTをきたすかといった差違は膵癌の分化型に関係していることが示唆された。これは膵癌subtypeごとに異なる浸潤機序を持つことを示したものであり、subtypeごとの制御法を確立し臨床応用することによって、個別化治療を推し進め、今後の膵癌患者の予後改善に寄与し得ると考えられる。
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