研究課題/領域番号 |
19K22685
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮本 享 京都大学, 医学研究科, 教授 (70239440)
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研究分担者 |
荒川 芳輝 京都大学, 医学研究科, 講師 (20378649)
杉山 弘 京都大学, 理学研究科, 教授 (50183843)
上久保 靖彦 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (60548527)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | がん幹細胞 / グリオーマ / ステムネス / マスター転写因子 / SOX2 / 転写ネットワーク / 転写活性制御 / 核酸類似化合物 / 腫瘍幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、グリオーマのステムネス維持を制御するマスター転写因子であるPOU3F2, SOX2, SALL2, OLIG2を標的とした転写因子のシスエレメントに結合することで転写活性を制御(スイッチ)する核酸類似化合物の開発を行い、グリオーマのがん幹細胞のステムネスを崩壊させる新規治療化合物を確立する。さらに、開発されたがん幹細胞を標的とした化合物を用いた新しい治療ストラテジーの確立を目指す。
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研究成果の概要 |
グリオーマの治療困難な要因は、がん幹細胞の存在である。ステムネス制御転写因子としてPOU3F2、SOX2、SALL2、OLIG2が同定されている。本研究では、転写因子のシスエレメントに結合することで転写活性を制御する核酸類似化合物の開発を行った。各転写活性スクリーニングからSOX2抑制に有効なChb-SOX2を同定した。Chb-SOX2は、グリオーマ細胞の増殖抑制作用を示し、がん幹細胞スフェア形成を障害した。Chb-SOX2は、細胞死、細胞周期制御に関わる遺伝子発現を誘導していた。これらの結果から、Chb-SOX2がグリオーマがん幹細胞を標的とした治療薬として有望であることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
グリオーマの中で最も悪性度の高い膠芽腫は、手術、放射線治療、化学療法を行っても、生存期間中央値は16-18か月と非常に予後の悪い脳腫瘍である。有効な治療薬はテモゾロミと1剤であり、その効果も限定的である。グリオーマは進行すると運動障害、言語障害を生じるため、予後不要に加えて生活の質が著しく悪化しやすい。本研究では、有望な治療法がないグリオーマに対して、特に治療困難な腫瘍成分であるがん幹細胞を標的とする治療薬となりうることを示した。本研究成果からグリオーマに対する新たな創薬が進むことが期待される。
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