研究課題/領域番号 |
19K22716
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
久保田 聡 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90221936)
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研究分担者 |
西田 崇 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (30322233)
服部 高子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (00228488)
高江洲 かずみ (河田かずみ) 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10457228)
滝川 正春 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20112063)
青山 絵理子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10432650)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | CCN2 / lncRNA / antisense RNA / gene regulation / skeletal development / アンチセンスRNA / 骨格形成 / 線維化疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトゲノムからは30,000種もの長鎖ノンコーディングRNA (lncRNA)が転写されている。代表者は骨格組織の発生・修復で重要なCCN2分子をコードするmRNAの、3'-非翻訳領域(3' -UTR)と相補的なlncRNAを発見した。本研究ではまず、遺伝子発現を制御するこの3'-UTRにACURが結合し、制御機能を封じ込めるかを検証する。次にゲノム編集の技法で生体でのACURの役割解明に進み、最終的にはACURを利用したCCN2関連疾患治療法の開発を目指す。なお本研究はUTRブロッカーというlncRNAの新カテゴリーが密かにゲノムを制御している実態を明らかにしようとする挑戦でもある。
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研究成果の概要 |
CCN2は軟骨細胞で発現し骨格形成に重要な遺伝子である。本研究では、ヒトCCN2遺伝子の3'-非翻訳領域 (UTR) を覆うアンチセンス長鎖ノンコーディングRNAであるACURの機能の解明を目指した。まずACURのヒト細胞での発現は、各種がん細胞だけでなく軟骨細胞様細胞や、膝関節軟骨細胞でも確認できた。さらにマウス間葉系幹細胞株でもACURが転写され、脂肪細胞への分化に伴いCCN2と同様発現が低下することが分かった。一方マウス軟骨前駆細胞株では、分化前にはACURの発現は弱く、分化に伴い上昇した。以上の成果はACURがCCN2発現を正に制御し、軟骨細胞分化に関与していることを示すものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
転写後調節に重要な3'-UTRを覆ってしまうACURはアンチセンスRNAの中でも特殊である。lncRNAの多くは転写因子やクロマチン制御因子を招いて周囲の転写に影響を与えるが、ACURはこれらとは異なる。つまり本研究は新たなlncRNAカテゴリーを見出しlncRNAタキソノミーを塗り替えようとする挑戦である。 またアンチセンスRNAの存在が知られる前は、mRNAとアンチセンスRNAの総和を目的mRNA量だと勘違いしていたケースが想定される。そして研究者は遺伝子ノックアウトの際、アンチセンス側に与える影響を十分に考慮してきただろうか?本研究は既存の研究成果に再検討の必要性を認識させるものでもある。
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