研究課題/領域番号 |
19K22724
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
伊藤 公成 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (00332726)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | T細胞リンパ腫 / p53 / c-Myc / Runx / 骨肉腫 / リンパ腫 |
研究開始時の研究の概要 |
がん抑制遺伝子p53の賦活化は効果的な抗腫瘍戦略であるが、これまで奏功していない。研究代表者は、p53機能異常に起因する腫瘍の発症・悪性化が、強力な「がん遺伝子」c-Mycの機能亢進に依存し、c-Myc遺伝子制御領域内の特定配列(mR1)に変異を入れることで、効果的にそれを抑制できる可能性を見出した。 そこで本研究は、主にリンパ腫を発症することで早期に死亡するp53-/-マウスにmR1ホモ変異を導入してp53-/-マウスをレスキューできるかどうかを検討する。mR1をターゲットにした革新的な抗がん戦略を提唱したい。
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研究成果の概要 |
p53の不活化とMycの過剰発現をRunx3がmR1を通して仲介するという骨肉腫発症の分子基盤は、さまざまな腫瘍の発症に広く通底するものだろうか。 その可能性を検証するため、リンパ球特異的p53欠損マウス(胸腺リンパ腫モデルマウス/LPマウス)を新たに導入した。このマウスにおける胸腺リンパ腫の発症は、Runx1によるMycの過剰誘導に依存した。さらにLPマウスのmR1にホモ変異を導入すると、胸腺リンパ腫の発症が顕著に抑制された。 以上の結果から、mR1を介したRunxによるMycの発現誘導は、p53欠損性の腫瘍の発症機序における、がん種を越えた共通の分子基盤であると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
極めて広範にヒトがんに関与する、p53の不活化とMycの活性化が、mR1とRunxの介在で機能的に連結した。細胞の腫瘍化は複雑であると考えられているが、実際には、根底にシンプルな共通基盤が存在し、そこに関与する責任因子や特定のゲノムエレメントをターゲットにすることで、それを制御できる可能性がある。 現在の抗がん政略は、テーラーメイド医療に代表させるように、個々の遺伝子異常に、個々に特化した分子標的薬で対処している。今回の成果は、この複雑な治療戦略を根本から見直すきっかけを与えている。
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