研究課題/領域番号 |
19K22726
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
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研究分担者 |
中村 史朗 昭和大学, 歯学部, 准教授 (60384187)
中山 希世美 昭和大学, 歯学部, 講師 (00433798)
望月 文子 昭和大学, 歯学部, 講師 (10453648)
壇辻 昌典 昭和大学, 歯学部, 助教 (60826634)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 食欲 / 動脈灌流標本 / 嚥下 / 食欲不振 / 大脳除去ラット動脈灌流標本 / グレリン / 咀嚼 / 腕傍核 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者の食欲不振は、要介護状態にいたる重大なリスク要因となる。食欲不振の真の原因の解明は、動物の摂食量の減少を指標にする従来の研究手法では難しかった。最近私たちは、標本の全身状態に関係なく中枢神経系や頭部組織の活性を保つことができる大脳除去動物の動脈灌流標本を開発した。そこで本研究は、摂食行動を制御する基本的な神経回路が存在するとされる視床下部から脳幹に着目し、視床下部や脳幹が“食欲不振の状態”になると動脈灌流標本の咀嚼様運動や嚥下様運動が起こりにくくなると仮定し、これらの運動の誘発を指標に食欲不振を起こす条件とその背景にある神経メカニズムを探り、新規の食欲不振動物実験モデルの確立を目指す。
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研究成果の概要 |
食欲不振は、肉体的・精神的な病気に加えて、加齢によっても起こる。食欲調節メカニズムの神経機構については、これまでの自由行動マウスの摂食量を指標にした実験系では、体調不良が摂食量に影響するなどの理由で、十分解明されていなかった。本研究は、摂食行動を制御する基本的な神経回路が存在するとされる視床下部から脳幹を有す大脳除去動物の動脈灌流標本を用いて、食欲制御に関わる各種の生理活性物質の嚥下様運動に対する効果を検討し、新たな実験モデルの開発を目指した。その結果、グレリン投与によって嚥下様活動が31%増強することが明らかになった。これにより同標本を用いて食欲調節の神経機構を解析できる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
摂食行動を司る神経機構を解明するために、従来の動物の摂食量を指標にした解析方法では、覚醒レベルや体調などの変動要因が数多く存在する。本研究は、除脳によって精神的、心理的な食欲不振の要因を取り除き、口腔内への蒸留水注入によって誘発された嚥下様運動を指標とすることで、変動要因を極力減らし、食欲不振に関わるニューロン機構を解析できる。さらに、食欲不振と摂食行動の実行システム(嚥下)との関連も解析できる。本実験によって食欲不振だけでなく過食の神経メカニズムについても新たな発想の画期的な研究手法の開発につながる可能性があり、がん患者や高齢者の食欲不振の治療法の開発につながる可能性がある。
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