研究課題/領域番号 |
19K22733
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
押谷 仁 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80419994)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | エンテロウイルスD68 / EVD68 / フィリピン / 呼吸器感染症 / EV-D68 / 遺伝子解析 / エンテロウイルス / インフルエンザ / RSウイルス / EVーD68 / 世界的流行 |
研究開始時の研究の概要 |
エンテロウイルスD68(EV-D68)は、ウイルス学的にはエンテロウイルスに分類されていながら、主に呼吸器感染を起こすウイルスである。以前は、非常にまれにしか検出されないウイルスと位置づけられていたが、2000年代後半から世界的にその報告数が急増しており、2014年には北米およびヨーロッパで、さらに2015年には日本でこれまでにない大規模な流行が起きた。本研究では、フィリピンのデータを用いてEV-D68の世界的な増加は、新しい遺伝子型であるClade Bの出現による病原性あるいは感染性の変化が原因ではないかという仮説を検証する。
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研究成果の概要 |
エンテロウイルスD68(EV-D68)は、2014年から2015年にかけて世界的流行を引き起こしたことで注目された。しかし、その理由は解明されていなかった。フィリピンにおいて継続的に検出されてきたEV-D68のウイルス遺伝子の解析、抗原性の変化についての検討、陽性例の重症度の解析を行った結果、2015年にフィリピンであった流行は、遺伝子型がClade DからClade Bに移行することで起きたことがわかった。また2つのCladeの間には抗原性の違いを認めたが、重症度の違いは認めなかった。これらのことから2015年の流行は流行株の抗原性が変化したことによって起きた可能性が高いことが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
エンテロウイルスD68(EV-D68)は2014年~2015年に世界的流行を起こしたウイルスで、その際には呼吸器感染症の重症例だけではなく急性弛緩性麻痺例も世界各地で数多く報告された。なぜそのようなことが起きたかというメカニズムを解明することは、今後の新興感染症の流行の予知や予防にとって重要なものである。COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2も変異を繰り返すことで流行が継続しているが、EV-D68も同じようなメカニズムで流行が起きている可能性を示せたことは、重要な意義があると考えられる。
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