研究課題/領域番号 |
19K22779
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
土肥 謙二 昭和大学, 医学部, 教授 (20301509)
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研究分担者 |
諸藤 陽一 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (40437869)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 熱中症 / 小脳 / 神経炎症 / 後遺症 / 筋肉 / 運動障害 / 環境因子 / 脳機能 / 動物モデル / 予防法 |
研究開始時の研究の概要 |
労働やスポーツなどの日常生活で発生する熱中症の大部分は軽度から中等度である。近年、スポーツ活動や労働環境においては熱中症の対策は必須となってきている。一方、具体的には屋外での活動を完全に制限することは困難であり、対処法も水分と電解質の補充と休息以外にはないのが現状である。本研究では軽度から中等度熱中症の身体活動や脳神経機能への影響と病態について検討し、さらに腸内フローラや水素水飲水の効果といった発症予防や治療として家庭や学校などのスポーツ活動の現場、労働活動の現場などで可能な新規の予防法や治療法の開発を行っていく。
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研究実績の概要 |
本研究では軽度から中等度熱中症の身体活動や脳神経機能への影響と病態について検討し、さらに水素水飲水の効果といった発症予防や治療として家庭や学校などのスポーツ活動の現場、労働活動の現場などで可能な新規の予防法や治療法の開発を行っている。現在はサイトカインに強く影響するPACAP KOマウスを用いて熱中症後の組織障害に影響するのかについて生化学的および組織学により評価を行っており、令和3年度中の投稿を目指して準備している。また、熱中症後14日間、マウスは血算やヘマトクリットを測定し、血清をNa、K、Clなど電解質、腎機能および肝機能マーカーを生化学的に測定し、組織(脳、肺、肝、腎、腸管)における形態学的検討を行った。この結果についてはJ Intensive Care. 2021; 9: 35.に公表した。 2022年度の実験の結果、小脳のプルキンエ細胞に異常が認められることが確認された。具体的には熱中症後におきる小脳の遅発性神経傷害についてマウス熱中症モデルを用いて検討をおこなった。これらの結果から、熱中症により小脳のプルキンエ細胞は著明に減少し、その後改善しないことがわかった。一方、小脳白質の脱髄は時間の経過に伴い改善し、 再髄鞘化が考えられた。プルキンエ細胞周囲のPSD-95、Synaptophysinは熱中症から3週間後に最も低下し、その後改善したことから、 熱中症にともなう一過性のシナプス傷害が示唆された。本検討から、熱中症後におこる小脳白質の一過性の脱髄、プルキンエ細胞の減少、一時的なシナプス傷害が遅発性神経傷害に関連していることが明らかになった。この研究成果は、『Scientific Reports』に掲載された。 その一方で水素水飲水の効果については明らかな熱中症の発症や神経症状の抑制効果が得られなかった。 現在、新規抗酸化剤の効果を検討するとともに、神経機能予後について行動や運動機能の評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症により、主に救急医で研究者が構成されているために研究に対する時間が取れずに研究が遅延した。さらに水素水飲水の効果が得られなかったことから他の抗酸化物質に効果についての再検討を行っていることがさらなる遅延の原因となっている。現在、運動機能予後における中枢神経の関与について四肢の筋肉の障害や運動機能の精査を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
水素水の効果が不明であったために現在新規抗酸化剤における追加検討を行っている。同時に運動機能予後における中枢神経の関与について四肢の筋肉の障害や運動機能の精査を行っている。
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