研究課題/領域番号 |
19K22798
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 彰子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任准教授 (90348144)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | ロスマリン酸 / 体内分布 / 代謝 / 腸管 / ポリフェノール / 脳機能活性化 / モノアミン |
研究開始時の研究の概要 |
疫学調査により、ポリフェノールには老化やそれに伴う疾病を予防する効果が数多く報告されているが、詳細な機作が明らかにされているものあまり存在しない。ポリフェノールはバイオアベイラビリティが低いにもかかわらず、摂食後全身で作用するものが多く、標的組織や細胞内に吸収されて効果を発揮するといったこれまでの定説では説明がつかない。本研究は、体内に吸収されずとも効果を発揮するポリフェノールの新たな作用機作の1つとして、ポリフェノール摂食刺激による脳機能の活性化機構に着目し、その効果が期待できる新規素材としてのポリフェノールを探索・同定すると共に、その活性化機構を探る。
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研究実績の概要 |
マウスにロスマリン酸(RA)を経口投与し、投与後12時間まで経時的に血漿および各臓器を採取した。採取した血漿および各臓器に含まれるRAおよびその代謝物であるカフェ酸(CAA)、フェルラ酸(FA)、クマル酸、ヒドロ-m-クマリン酸、ロスマリン酸メチル(RM)をLC-MS/MSを用いて測定した。血漿および臓器抽出液は、脱抱合化酵素(グルクロニダーゼおよびスルファターゼを含む)による脱抱合処理し測定することで、抱合体とアグリコンの総濃度を測定した。また脱抱合処理を行っていないサンプルを測定し、アグリコン濃度とした。血漿および各臓器のホモジナイズ溶液から得られた上清と脱抱合化酵素溶液を混合し、37℃で45分間振盪しながらインキュベートした。その後0.83 M酢酸メタノールを加え、12, 000 ×g、4℃で10分間遠心分離した。得られた上清をMillex-LHフィルターにて濾過し、5 μLを測定に供した。LC-MS/MS は Silex社製の 3200Q TRAPを使用した。本研究で使用したLC-MS/MSにおける、RAおよび代謝物の検出限界濃度の範囲は、10^-5 ~10^-2 μMであった。 血漿中ではRA、CAA、FAのみが検出され、RA濃度が最も高かった。脳ではRAが検出されなかった一方、代謝物が検出された。肝臓ではRA、CAA、FA、およびRMが検出され、RMが最も高濃度で検出された。以上の結果から、RAは経口摂取後、速やかに代謝を受け、存在する化合物は臓器ごとに異なることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までに構築したLC-MS/MS分析系を用いて、RA投与後のマウス体内の血中濃度推移および体内分布を明らかに出来た。イメージング質量分析に関しては、想定より予備検討に時間がかかったため、来年度さらに予備検討を進め測定を終える予定である。
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今後の研究の推進方策 |
LC-MS/MSにより脳内移行性が推定された代謝物の、脳内における局在性をイメージング質量分析で予備検討した。来年度は、さらに条件検討を進め、RAおよびRA代謝物の脳内移行性および局在性を解析する予定である。
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