研究課題/領域番号 |
19K22832
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
矢野 博己 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (20248272)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 腸内フローラ / アスリート / FFQ / 便移植 / IPAQ / P. distasonis / B. caccae / アスリートマウス / 運動パフォーマンス / TLR5 / TLR5遺伝子欠損マウス / 自発運動 / ヒト化腸内フローラマウス / 生物界間伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、アスリートマウスを作成し、革命的進歩を遂げる腸内細菌叢解析技術を駆使しつつ、便移植法による運動パフォーマンス水平伝播の可能性について検討を試みる。さらにヒトアスリートの糞便を用いた、ヒト腸内フローラ移植マウスへの運動パフォーマンス生物界間伝播の可能性について検討する挑戦的萌芽研究である。
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研究実績の概要 |
今年度の本研究では、大学生アスリートの腸内細菌叢と運動習慣のない同年代の健康な成人男性の腸内細菌叢との比較を行い、運動パフォーマンスに関連する菌を検討することとした。アスリート群(n=17)と運動習慣なし(コントロール群, n=24)の2群に、Webアンケート(身長、体重、年齢、喫煙習慣、飲酒習慣、既往歴、過去半年間の抗菌剤の使用有無、国際標準化身体活動質問票(IPAQ)、および推定最大酸素摂取量の評価)を実施した。コントロール群は、さらに基礎疾患がないこと、過去半年の抗生剤の使用がないこと、IPAQで低強度または中強度であること、IPAQのスコアが700以下であることを選定基準とし、最終的には、n=15となった。簡易糞便採取キットを用いて新鮮便を採取し、16SrRNA解析を行った。腸内細菌の同定には、Qiime2ソフトウェア(ver.2023 2)を使用した。コントロール群とアスリート群の腸内細菌叢のα多様性(OTUs、Chao1、Shannon、Simpson)には、有意な差は見られなかったた。UniFrac解析による腸内細菌叢のβ多様性についても、コントロール群とアスリート群間での有意な差は見られなかった。しかし、コントロール群と比較してアスリート群で4つの菌が有意に低値を示した。すなわち、Blautia属、Blautia_caecimuris種、Eggerthella属、およびParasutterella属であった。LEfSeを使用し、また、条件ごとにWilcoxonの符号順位検定を行い、LDAスコアからは、コントロール群で10の腸内細菌が、アスリート群よりも高い値を示した。一方、アスリート群でコントロール群よりも相対的菌数が高値を示す腸内細菌は、観察されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の収束を待って、動物実験と並行してヒトを対象とした研究を進める予定であったため、これまで大幅な遅れが生じていた。しかし、無事、倫理委員会の承認を得、ヒトを対象とした調査研究は完了できた。現在、動物を用いたヒトアスリートからの便移植実験も進めており、遅れを解消できた。次年度完了を目指して、順調に進展しているものと認識している。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトアスリートの調査研究は、データ解析は完了し、現在、栄養調査結果とのすり合わせを行っている。学会発表を予定しており、論文の作成へと進める予定である。また、動物を用いたヒトアスリートからの便移植実験についても、実験はすでに完了しており、行動観察の結果をもとに、脳内遺伝子発現等の分析に取り掛かっている。こちらも、次年度完了に向けて、まとめの段階へと進めることが可能な段階である。
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