研究課題/領域番号 |
19K22835
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
田口 明子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, ジェロサイエンス研究センター, 部長 (80517186)
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研究分担者 |
王 蔚 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 統合加齢神経科学研究部, 研究員 (00845167)
柴山 雄大 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, ジェロサイエンス研究センター, 特任研究員 (60907955)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 低栄養 / 認知症 / 体重減少 / 高齢期 / 栄養代謝障害 / インスリンシグナル / 認知機能 / 栄養代謝 / 糖代謝調節経路 / ライフステージの変遷 / 自律神経症状 |
研究開始時の研究の概要 |
中年期以降での高脂肪食摂取による肥満・生活習慣病が認知症の危険因子であることに対して、後期高齢期における食欲低下・低栄養に伴う体重低下も認知症を引き起こす重要な要因であることが明らかとなって来ている事から、本研究では、栄養状態の変化が異なるライフステージの個体の代謝、認知機能へ与える影響について解析を行い、根本的な認知症の発症機構を明らかにすることを目的としており、研究結果が新規の認知症予防および治療法の開発へと繋がることを目標としている。
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研究成果の概要 |
低タンパク質食による低栄養付加野生型マウスは、中年期までに有意な体重減少が見られたが糖代謝に異常は見られなかった。一方、低タンパク質食は、中年期以降の野生型マウスに体温調節障害と自発活動性の変容を誘導した。アルツハイマー病患者死後脳で発見されたインスリン受容体基質1(IRS1)の特異的リン酸化変化は、老化に伴う認知機能低下に伴い促進されるが、低タンパク質食は、老化に伴い誘導されるIRS1の特異的リン酸化変化を促進させることが分かった。さらに、低栄養食を普通食に変えた後のマウスでは、インスリンの感受性および血糖値に有意な変化が生じることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高齢期の低栄養は短期間で認知症を誘導する重要な要因であることが海外から報告されているにも関わらず、国内での研究はまだ盛んでは無く、低栄養と認知症の関係を規定する分子機序も不明である。低栄養が認知機能および脳インスリンシグナルへ影響を与えること、さらに、臨床研究結果を支持するものとして、低栄養を普通食に変えた後に栄養エネルギー代謝に異常が観察されることを明らかにした点は学術的意義が大きい。今回の研究成果を基盤に、低栄養の詳細な成分やバランスおよび脳と末梢組織の連関や体系的な変化について今後更に検討することで、未知の認知機能調節機序の解明と新たな創薬シーズの発見に繋がる可能性が考えられる。
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