研究課題/領域番号 |
19K22838
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
國廣 昇 筑波大学, システム情報系, 教授 (60345436)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 暗号化データベース / 安全性評価 / 順序保存暗号 / レンジクエリ |
研究開始時の研究の概要 |
大量のデータがあふれる現在において,大規模なデータベースにデータを格納することが標準になりつつある.サーバの不正を防ぐためには,データは暗号化した上で保管されなくてはならない.本研究では,暗号化データベースに対する安全性評価に関する研究を行う.SQLと暗号方式を組み合わせて使う場合には,順序保存暗号などの特徴を保持する暗号を用いる必要がある.暗号文間で順序関係が入っていることにより利便性が高まるが,その一方で,その順序関係を用いることで解読される可能性がある.本研究課題では,特徴保存暗号に基づく暗号化データベースの安全性評価を行う.
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研究実績の概要 |
大量のデータがあふれる現在において,大規模なデータベースにデータを格納することが標準になりつつある.サーバの不正を防ぐためには,データは暗号化した上で保管されなくてはならない.本研究の目的は,暗号化データベースに対する安全性評価に関する研究を行うことである.2023年度は,ゼロ知識証明,特に多くの応用が期待されるzk-SNARKsに関する成果を得た. zk-SNARKsは,ゼロ知識性を持ちつつ, 簡潔かつ非対話に情報を検証できる, 特殊な形式のゼロ知識証明方式であり,近年,多くの研究が進展している.ここで,ゼロ知識証明とは,証明者が検証者に,秘密情報を知っていることを,秘密情報を「知っていること」以外の情報を与えずに証明する方式である.zk-SNARKsの構成は一般に複雑であるため,方式自身の効率化に関する研究だけでなく,構成手法の効率化の研究も盛んである.2023年度は,Vector OracleをPolynomial Interactive Oracle Proofへ変換するコンパイラに焦点を絞り研究を行った.多項式の表現として,通常の多項式係数によるベクトル符号化ではなく,Reed-Solomon符号語を採用する方式を提案した.この方式の提案において,ベクトルへの操作を多項式の操作へ変換することが重要である.ここで,ベクトルのアダマール積は,Reed-Solomon符号語においては,多項式の積に対応すること,ベクトルの内積は,すべての点の評価値の演算結果の和に対応することを利用している.さらに,コンパイラの正当性を示すことに成功している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,ゼロ知識証明,特に多くの応用が期待されるzk-SNARKsに関する成果を得た. zk-SNARKsの構成は一般に複雑であるため,方式自身の効率化に関する研究だけでなく,構成手法の効率化の研究も盛んである.2023年度は,Vector OracleをPolynomial Interactive Oracle Proofへ変換するコンパイラに焦点を絞り研究を行った.多項式の表現として,通常の多項式係数によるベクトル符号化ではなく,Reed-Solomon符号語を採用する方式を提案した.これを実現するためには,Vector Oracleは,6種類のクエリ(VEC, POW, SHR, LIN, HAD, INN)を受け付けるが,その全てに対して,ベクトルへの操作を多項式への操作へ変換する必要がある.本研究では,ベクトルのアダマール積は,Reed-Solomon符号語においては,多項式の積に対応すること,ベクトルの内積は,すべての点の評価値の演算結果の和に対応することを利用して,提案に成功している.さらに,コンパイラの正当性を示すことに成功している.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,2023年度に行ったzk-SNARKsの構成手法に関する研究の精緻化および実装を進め,査読付き国際会議への投稿を行う.さらに,これまでに継続的に進めてきた,暗号データベースに関する安全性評価に関する研究の精緻化を進める.査読付き国際会議への投稿を行うほか,さらなる効率化および性能向上を目指す.これまでに提案した攻撃の一つは,ノイズが大きい場合には解を復元することができず,理論的にどの程度のノイズが乗っても解の復元が可能であるかの理論限界も不明である.そのため,理論評価およびアルゴリズムの改良を行う.もう一つの攻撃は,依然,ヒューリスティックなアルゴリズムであり,事前情報を最大限に利用できていない.そのため,さらなら改良を行う. さらに,大規模な実データを利用することにより,実際の計算機上で,安全性評価を行い,現実に与えるインパクトに関して詳細に検討を進める.
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