研究課題/領域番号 |
19K22849
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小柴 健史 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60400800)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 秘密分散 / 関数分散 / 暗号プロトコル / アクセス構造 / 量子プロトコル / 関数秘密分散 / 暗号理論 / フーリエ基底 / 秘匿計算 |
研究開始時の研究の概要 |
代表者の初期的研究により,フーリエ基底表現の冪の線形性を利用することで関数分散に対して線形秘密分散を組み込むことの可能性が見出されている。これを利用して,従来の関数分散技術の拡張性に乏しさを解決することを目指す。関数分散の原型である秘密分散研究には,様々な構成方法,付加的な諸性質を持つ方式の提案,セキュア計算などの暗号プロトコル応用などがあり,秘密分散は貴重な暗号ツールとして重要な役割を担っている。同様な性質を持つ関数分散についてもフーリエ基底表現の特性を活かして秘密分散と同様あるいはそれ以上の役割を持つ方式が期待でき,そのための方法論を構築する。
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研究実績の概要 |
関数分散は,1人のディーラーと呼ばれる関数を分散するパーティと複数の一般のパーティの間の暗号プロトコルで,各一般パーティは特定の入力に対して分散された関数の評価を行う。各一般パーティが評価した値を一定数(閾値)以上集めることにより,本来の秘密の関数の値を計算するが,一定数未満の値しか集まらない場合は関数値に関する情報は得ることができない方式である。ブール関数全体は有限体上のベクトル空間であり,任意のブール関数はフーリエ基底関数を線型結合して表現することができるが,線形結合で用いる基底の数が入力次元(入力長)の多項式で抑えられるとき簡潔表現を持つとよぶ。標準的な基底関数を用いた場合は関数分散の効率性と関数表現の簡潔性との関係は不明確であったが,フーリエ基底を採用した場合には関数分散の効率性と関数表現の簡潔性は明確な関係があった。 フーリエ基底を用いた簡潔な表現を持つ関数族は効率的な関数分散が可能であるが,自然な関数族でフーリエ基底を用いた簡潔表現を持つもの諸性質を検討した。ブール関数研究においてフーリエ関数解析がよく調査されている低次元多項式クラスについて,フーリエ凝縮の観点からその性質を再検討し,関数分散の効率度との関係を明らかにした。 また,量子計算に対しても耐性のあるアクセス構造を持つ秘密分散穂方式の線形代数的なアイデアを援用し,従来の研究成果であるアクセス構造をもつ関数分散方式を発展させ耐量子性を持つ方式のプロトタイプを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論的な研究では集中して熟考することが必須であるが,持病の悪化とそのための入院・通院により,集中して作業することが難しい時期があった。それがなければ,関数分散や他の暗号プロトコル(例えば,秘匿情報検索)との関係などを明確にしたり,研究実績で報告したプロトタイプをより精緻化できたものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
病気という事情につき,研究期間の延長を認めていただいた。推進のための方策としてはそれで十分であると考えている。
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