研究課題/領域番号 |
19K22860
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒田 真也 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (50273850)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | スパイン / ロバストネス / ゆらぎ / 少数性 / 小体積効果 / 情報コード / ニューロン |
研究開始時の研究の概要 |
神経細胞のスパインは、他の神経細胞から送られた情報を処理する場であり、体積が極端に小さいため分子数が数十~数個のオーダーしかなく、反応がゆらいでしまう(少数性ゆらぎ)。なぜこのように小さくても情報をロバストに処理できるのであろうか。本研究では、シナプス可塑性の中心的な役割を担うNMDA受容体の確率微分方程式モデルを作成して、スパインは小ささがもたらすゆらぎを利用して、入力タイミング情報をCa2+の上昇へどのようにロバストに変換するかを明らかにする。さらに、抽象的なモデルを作成することにより、少数性ゆらぎを利用した情報伝達のロバスト性が実現される普遍的なメカニズムを解明する。
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研究成果の概要 |
神経細胞のスパインは、他の神経細胞から送られた情報を処理する場であり、体積が極端に小さいため分子数が少なく反応がゆらいでしまう。なぜこのように小さくても情報をロバストに処理できるのであろうか。本研究では、数理モデルを作成して、スパインの小ささが生み出すロバストな情報コードのメカニズムを明らかにした(鳥取ら、Phys.Rev.E 2019)。またスパインのゆらぎは同一スパイン内での細胞内のゆらぎである。一方、スパイン間、細胞間のばらつきも存在する。同一細胞内でのゆらぎはノイズである一方、細胞間のばらつきは情報として機能することを見出した(和田ら、CellRep., 2020)。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
計算機などの人工システムでは情報を処理するために膨大なエネルギーを必要とする。たとえば、スーパーコンピュータ「京」の消費電力は3 千万ワットである。一方、最近の脳科学の研究から、我々の脳の消費電力は20ワットであることがわかっているが、スーパーコンピュータでは、人間の脳のような柔軟性に富んだ複雑な思考能力や演算能力を省エネルギーで獲得することは難しい。本研究で明らかにした小さい退席によるゆらぎを利用した情報コードの設計原理によって、画期的にエネルギーコストが安い情報処理システムの基盤の基礎原理となるかもしれない。
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