研究課題/領域番号 |
19K22902
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齋藤 秀之 北海道大学, 農学研究院, 講師 (70312395)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ブナ / 花成 / 光合成 / 葉緑体リボソーム / DNAメチル化 / エピゲノム / ブナ林 / 環境影響評価 / エピゲノミクス / 森林衰退 / 一斉開花 |
研究開始時の研究の概要 |
森林衰退の環境影響評価において、誘因となる環境変動と植物影響に季節的な時間のズレがある場合の因果関係を評価することは難しい。ゲノムのDNAメチル化は環境情報をDNAの化学修飾として記録して、その後の遺伝子発現を制御するエピゲノムの機能をもつため、生物指標としては「時間的ズレがある因果関係の評価」に利用できる可能性がある。本研究ではブナ衰退林の一斉開花の乱れを対象に、春季の高濃度オゾンがDNAメチル化を介して夏季の関連遺伝子群の発現調節に負の影響を与えて花芽分化を抑制することを明らかにする。以上、関連遺伝子のDNAメチル化が時間の隔たりがある因果関係を評価する生物指標としての有効性を検討する。
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研究成果の概要 |
ブナの葉は、開芽期の短期のオゾン曝露により、夏期以降に光合成能力の低下を遅発的に誘発することを明らかにした。この光合成能力の遅発影響には葉緑体ゲノムの16S rRNA遺伝子のDNAメチル化をともない、エピゲノム機序の関与が示唆された。また開芽期におけるブナの葉の糖とリンの不足は花成遺伝子(FT)のDNAメチル化に影響を与えることが示され、余剰光合成生産から供給される開芽期の葉の養分状態が夏期の花芽分化の可否を決めるエピゲノム機序の関与が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
森林衰退現象と樹木の一斉開花現象における環境影響評価では、誘因となる「環境変動」と「植物影響」に季節的な時間のズレがある場合の因果関係を評価することは困難であった。この時系列関係を含む因果解析の技術開発にあたり、本課題では、ブナの光合成能力の季節変化と花成を研究対象にして、環境情報をDNAの化学修飾として記録して遺伝子発現を制御するゲノムのメカニズム(エピゲノム機序)が生物指標として有望であることを明らかにした。この研究成果は環境変動下におけるブナ林の影響評価の精度向上に貢献できると考えられた。
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