研究課題/領域番号 |
19K22904
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
濱 健夫 筑波大学, 生命環境系, 名誉教授 (30156385)
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研究分担者 |
大森 裕子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80613497)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 抗生物質 / 細菌群集 / 物質循環 / 細菌群集組成 / 沿岸生態系 / 海洋細菌 / ゲノム分析 / 沿岸海洋細菌 / 群集組成 / 物質代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
沿岸域での魚介類の養殖においては、抗生物質の使用が普遍的に行われており、養殖場から海水中に拡散した抗生物質は、長期的に残存する可能性が高い。本研究では、沿岸から採取した自然細菌群集に対して、養殖で使用される代表的な抗生物種を添加し、180日間の長期間培養を行う。これにより、下記の項目について実験的に評価する 1.遺伝子解析により、抗生物質が細菌自然群集へ与える影響を明らかにする。 2.有機物の培養期間中の減少量により細菌の有機物分解過程に対する影響を評価する。 3・細菌の難分解性溶存態有機物の生成を通した「炭素長期隔離機能」に対する抗生物質の影響を評価する。
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研究成果の概要 |
沿岸細菌群集組成と物質循環に対する抗生物質の影響を、2種類の抗生物質を添加した細菌培養実験を通して評価した。細菌群集の多様性は、エリスロマイシンでは20 mg/L以上の条件下、オキシテトラサイクリンでは200 mg/L濃度下で顕著な減少を示した。高濃度抗生物質存在下では、アルファプロテオバクテリア綱に属する細菌類の減少が認められ、一方、ガンマプロテオバクテリア綱の細菌類の存在比が大きく増加した。 高濃度下では粒子状の凝集体内に生息する細菌のみが認められ、単独で生活する遊離性細菌はほとんど生息していなかった。抗生物質の細菌群集への影響は、細菌の生活様式に大きく関連することが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抗生物質は人への使用に加えて、畜産動物や水産魚類にも使用されており、我が国の動物への使用量は、人への使用量の2倍に相当する。魚類の養殖においては、飼料に抗生物質を混ぜて与えており、海水中の抗生物質濃度を増加させる要因となる。 本研究は、水中の抗生物質濃度が増加は、細菌数を減少させ、さらに細菌群集の多様性を減少をもたらす可能性をもつことを明らかにした。抗生物質の環境中への排出に関しては、現在のところ法的規制は行われていない。抗生物質の「意図しない」効果を防止するため、環境中における抗生物質の挙動と生態系への影響に関する研究の強化の必要性が、強く示唆された。
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