研究課題/領域番号 |
19K22912
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
岩田 久人 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10271652)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | ニワトリ / 発生毒性 / 殻なし孵化装置 / 有機リン酸エステル系難燃剤 / 鳥類 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、殻なし孵化装置を用いた表現型影響の経時的連続観察によって、生態毒性試験の盲点となっている環境汚染物質曝露による鳥類胚の発生毒性評価法を開発することである。有機リン酸エステル系難燃剤(PFRs)は、ヒトや野生生物の健康へ悪影響の可能性があるために生産・使用禁止が決められた有機臭素系難燃剤の代替物質として生産・使用されている。PFRsは国内外に生息する野鳥の組織や卵からも検出される。一方、これらPFRsの毒性に関する報告は非常に少ない。そこで本研究では、殻なし胚孵化装置を用いて、PFRsを曝露したニワトリ胚の多様な表現型影響を経時的に観察・測定し、発生毒性影響を評価する。
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研究成果の概要 |
ニワトリは、鳥類のなかでも入手が容易でゲノムが解読されているため、鳥類の毒性試験のモデル生物となっている。しかしながら、ニワトリ胚は不透明な卵殻内で発生するため、胚への化学物質曝露試験では同一個体の経時的発生毒性を観察することができない。したがって鳥類では、魚類モデル生物であるゼブラフィッシュのように、受精卵への暴露試験によって「いつ、どこに、どのような毒性が生じるのか?」といった詳細な情報を得ることが難しい。本研究では、卵殻がない状態で胚を発生させる装置を毒性学研究に応用し、ニワトリ胚の発生毒性を経時的に観察することに成功した。この装置を使い、ニワトリ胚の発生毒性発現過程を可視化できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
化学物質の安全性審査には、試験方法等の国際的調和を目指した取組が進められており、OECDにより試験方法の標準化のための「OECDテストガイドライン」(TG)が定められている。日本でも、TGに則った生態影響試験が実施されてきた。しかしながら鳥類に関するTGは、 摂餌毒性試験や繁殖試験などいずれも成鳥を対象にした試験で、胚の表現型影響を詳細に調べる試験は含まれていない。本研究が示したように、新たな鳥類試験法によって発生毒性が評価できた学術的・社会的意義は大きい。
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