研究課題/領域番号 |
19K22936
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
上田 正人 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (40362660)
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研究分担者 |
高橋 智幸 関西大学, 社会安全学部, 教授 (40261599)
鶴田 浩章 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (90253484)
徳重 英信 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (80291269)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 生体材料 / 酸化チタン / チタン / 骨形成 |
研究開始時の研究の概要 |
骨とサンゴにおける骨格形成メカニズムは,ほぼ同じである。既に確立されている骨形成・再生手法をサンゴに転用し,新規なサンゴ骨格形成促進手法を確立することを目的とする。具体的には,チタン製のスキャフォールド(足場)に骨形成の促進効果が認められている酸化チタンなどを成膜し,サンゴと連結する。水槽中,海底でサンゴを飼育し,スキャフォールド表面におけるサンゴ骨格形成を観察する。ここにおいても,医療材料開発で利用されているテクニックを駆使する。高効率なサンゴ骨格形成手法を探索すると共に,骨関連分野へも新たな切り口を提案し,協奏的に研究を発展させる。
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研究成果の概要 |
サンゴの軟組織であるポリプは,チタンや酸化チタン表面では旺盛に伸展した。これは一般的な細胞における密着挙動と類似している。 また,ポリプの無性生殖は酸化チタン表面に比べ,チタン表面の方が活性が高い傾向が認められた。酸化チタン表面における軟組織の密着はチタンのそれに比べ,強力であることに起因していると推察している。また,水晶振動子マイクロバランスシステム(QCM)によって測定した共振周波数と共振抵抗の変化と光学顕微鏡によって観察したポリプの基盤密着挙動を関連付けた。本手法はミリメートルオーダーのサイズを有するサンゴ軟組織の基盤密着挙動の解析にも利用できることを実験的に示すこともできた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脊椎動物とサンゴにおける軟組織密着性や骨格形成には類似点が多く,これまでに蓄積してきた再生医療,バイオマテリアル研究の知見や技術は,サンゴ礁の早期再生に役立つことを実験的に示すことができた。 サンゴの成長は非常に遅く,再生に関する基礎的なデータを取得するには,長時間を要する。基礎的なデータ・知見を地道に収集する正攻法では歯が立たない可能性が高く,本研究はこれまでの延長線上にない革新的な切り口を提案できたと考えている。また,サンゴの骨格は炭酸カルシウムであり,その成長は二酸化炭素の固定化にも繋がる。最近注目を集めているカーボンニュートラルを実現する有力な候補にもなると考えている。
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