研究課題/領域番号 |
19K22948
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
秋田 英万 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (80344472)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 癌治療 / 抗炎症薬 / 脾臓 / 癌免疫 / ナノ粒子 / DDS |
研究開始時の研究の概要 |
約30年にわたり、『抗癌剤を癌組織/細胞に選択的に送達する』ための癌治療用ナノ粒子製剤が数多く開発されてきた。これは、『腫瘍組織においては血管の構造が粗であるためにナノ粒子が漏出しやすい』という担癌モデルマウスにおいて得られた知見に基づいて成立してきた戦略である。しかし、近年報告された臨床試験のメタ解析の結果は、本戦略のヒトにおける有効性を否定するものであった。本研究では、従来のナノ粒子を用いたがん戦略を根底から見直し、抗がん剤を使わず、癌細胞を標的としないナノDDS技術を開発し、古典的ながん治療戦略を一新する。
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研究成果の概要 |
本研究では脾臓の炎症環境を標的とした抗腫瘍免疫の正常化による新たながん治療戦略として「RISET療法」を提唱した。水溶性ポリマーにて修飾したナノ粒子に抗炎症薬の脂質誘導体を搭載させ、担癌マウスに投与したところ、有意に腫瘍体積が減少することが判明した。本粒子による治療効果は脾臓内の免疫抑制細胞群の減少を介して発揮されることが明らかとなった。さらに、免疫チェックポイント阻害剤と本粒子を併用したところ、併用群において顕著な治療効果が観察され、既存薬のとの併用における有用性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来のナノ粒子を用いたがん治療戦略は、がん細胞に対して殺細胞効果を持った抗がん剤を効率的に送達することが重要視されていた。しかしながら、ヒト臨床試験のメタ解析により、EPR効果を利用したがん標的化の実用性に疑問が投げかけられ、根本的な技術改革が必要となった。本研究では上記の古典的な戦略を一新させる戦略として、抗がん剤を使わず、癌細胞を標的としないナノDDS技術を確立した。また、免疫チェックポイント阻害剤は約30%の患者しか有効性が認めらないという問題を抱えている。RISET戦略は免疫チャックポイント阻害剤との併用療法で高い治療効果を発揮したため、本問題点の解決策となり得る。
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