研究課題/領域番号 |
19K22952
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 希美子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (00323618)
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研究分担者 |
安藤 譲二 獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (20159528)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 血管内皮細胞 / ATP / ミトコンドリア / 流れせん断応力 / メカノトランスダクション |
研究開始時の研究の概要 |
血管内皮細胞は血流や血圧に起因する力学的刺激であるせん断応力や伸展張力を常に受けている。内皮細胞には力学的刺激をセンシングし、血行動態の情報として細胞内部に伝達することで細胞応答を起こす働きがあり、循環系の恒常性維持に重要な役割を果たしているが、その仕組が障害されると、様々な心血管病の発生に繋がる。最近、せん断応力依存的に血管内皮ミトコンドリアでATPが産生することを見出し、力学的刺激が細胞のエネルギー代謝に直接関与する事を示した。本研究では、血流刺激に反応するミトコンドリアでのATP産生メカニズムに焦点を当て、力学的刺激受容オルガネラとしてのミトコンドリアの役割とATP代謝経路を解明する。
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研究成果の概要 |
細胞や組織が力学刺激を感知して反応することはその機能や生存に極めて重要であるが、その仕組みは十分解明されていない。本研究では血管内皮細胞が血流に起因する流れ剪断応力の情報を伝達する分子機構をミトコンドリアをに焦点を当てた新しい視点から解析した。ミトコンドリア標的型のATPセンサーを発現した血管内皮細胞に剪断応力を負荷すると、ATPが産生した。ミトコンドリアの酸化的リン酸化を阻害すると、剪断応力依存的なATP産生と内因性ATPの放出、ATP作動性チャネルP2X4を介したカルシウム反応が有意に抑制され、剪断応力の情報伝達機構にミトコンドリアのバイオエナジェティクスが重要な役割を果たす事が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで、細胞が必要とするエネルギーを供給するオルガネラと考えられてきたミトコンドリアに、本研究成果から、力学的刺激をセンシングしてその情報をATPシグナリングとして細胞内へ伝達するという新しい機能の存在を示すことができた。血流センシング機構におけるミトコンドリアの役割を解明する本研究提案は循環系の恒常性の維持や血管病の発生機序の解明に直接繋がり、エネルギーの源であるATPの産生を司るミトコンドリアの作動機構を解明することは生命の動作原理に迫る意義を持つ。以上の研究成果はメカノバイオロジー研究に加えて、バイオエナジェティクス研究の新たな展開に貢献できると考える。
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