研究課題/領域番号 |
19K22953
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安楽 泰孝 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (60581585)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 高分子 / DDS / 脳 / 酵素補充療法 / 薬剤送達システム / 血液脳関門 / 脳神経系疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
生体の恒常性は、酵素が精密制御された反応場を構築することで維持されており、とりわけ多くの神経回路が集積している脳においてその役割は極めて重要であり、機能欠損は脳神経系疾患の要因となる。そこで欠損した酵素を補充し、症状改善を計る酵素補充療法(ERT)が注目されておいるが、脳は血液脳関門(BBB)と呼ばれるバリアに守られているために、既存技術では酵素を効率的に送り届けることが困難である。 そこで本研究課題では、我々がこれまでに確立してきた①BBBを効率的に通過する技術と、②ERTを効率的に惹起する薬物送達システムを組みわせ、脳内に酵素の反応場を構築し脳神経系疾患の治療へと展開することを目的とする。
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研究成果の概要 |
酵素補充療法(ERT)は、体内に足りない酵素を補充することで症状の改善を計る治療法で、疾患部位まで酵素を送り届け代謝を促すシステムを組み込んだ薬剤送達システム(DDS)は、とりわけ副作用の低い革新的治療法として期待されている。本課題では、生体内で酵素の反応場として最適な機能を具備するDDSに酵素を封入し、BBB通過用のリガンド分子を搭載することで、脳内に酵素の反応場を創出し、脳神経系(CNS)疾患の革新的治療技術開発を目的とした。DDSを形成する高分子合成、酵素を封入したDDSの構築とその基礎物性評価、in vivo試験を通して、構築したDDSが脳内でERTとして機能することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で得られた成果は、有効な治療法が未確立である中枢神経系(CNS)疾患に対して、薬剤送達に基づく分子治療という抜本的解決策を提供するものであり極めて大きな意義を有している。様々な機能分子を中枢系に送達する方法論確立は、CNS疾患に留まらず、脳腫瘍やアミノ酸代謝異常など広範な疾患治療に大きく貢献することが確信される。また高分子/材料設計の観点からは、生体適合性・標的指向性・環境応答性という異なる機能を空間的に制御された形で構造内部に配置する仕掛けを創り込むなど、独創性に秀でた生体材料設計プロセスを当該分野にもたらす意義を有していると確信する。
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