研究課題/領域番号 |
19K22965
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
丸山 美帆子 大阪大学, 高等共創研究院, 准教授 (20623903)
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研究分担者 |
古川 善博 東北大学, 理学研究科, 准教授 (00544107)
門馬 綱一 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (30552781)
田中 勇太朗 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (70813434)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | バイオミネラル / 尿路結石 / 結晶工学 / 赤外分光分析 / タンパク質 / 結晶相マッピング / 多重蛍光免疫染色 / 結晶成長 / 蛍光免疫染色 / シュウ酸カルシウム一水和物 / シュウ酸カルシウム二水和物 / オステオポンチン / カリギュラニュリンA / プロトロンビン / 周期構造 / シュウ酸カルシウム一水和物(COM) / シュウ酸カルシウム二水和物(COD) / 安定相 / 準安定相 / 多形相転移 / 結晶成長学 / 隕石研究 / 予防医学 / 有機分子マッピング |
研究開始時の研究の概要 |
結晶成分は結石全体の90%以上を占め、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、尿酸などが結晶化したものである。残りの0.1~10%程度はオステオポンチン(OPN)をはじめとする100種類以上のタンパク質を中心とした有機成分である。これらの構成成分が体内で成長して固化したものが結石である。つまり、結石そのものが体内での結石形成イベントを“記録”している。本研究で着眼した隕石学・鉱物学・結晶成長学的手法は、手元にあるサンプルからそれらの形成機構や時系列変化を読み解くことを得意とする研究手法である。有機成分がもたらす結石特有の難しさを解決し、結石形成の時系列情報を明確にする。
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研究成果の概要 |
結石を高精度で薄片化し、かつ試料が含有する結晶相や組織をできる限り損なわない薄片作製する手順を確立した。この薄片を偏光顕微鏡、および顕微フーリエ変換赤外分光法により分析することで、結石内部に含まれる結晶の相同定および組織の詳細観察が可能となった。シュウ酸カルシウム(CaOx)と強く相互作用するカルシウム結合タンパク質を中心に、9種類のタンパク質について蛍光免疫染色の条件を確立した。上記手法により15個のCaOx結石を薄片化し、特にCaOxと相互作用が強いと言われる3種類のタンパク質(オステオポンチン、カリグラニュリンA、プロトロンビン)について結晶組織に応じた遍在状況の可視化に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
尿路結石の詳細観察手法を開発したことで、体内で起こった結晶化現象やタンパク質との相互作用などが読み取れるようになった。本手法で多数の結石を分析した結果、“結石形成過程で深刻な結石固化は、シュウ酸カルシウム結晶の準安定相が安定相に相転移することで進行する”という新しい知見も得られている。今後さらに多くの結石を分析することで、結石の巨大化および固化を加速するタンパク質や尿の条件が明らかにしていける。結石形成機序の解明は、新しい結石の予防方法や治療方法の開発につながる。将来的には、尿路結石症で苦しむ人を減らし、健康寿命を延長することが期待できる。
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