研究課題/領域番号 |
19K22990
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
高島 一郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (90357351)
|
研究分担者 |
梶原 利一 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (60356772)
冨永 貴志 徳島文理大学, 神経科学研究所, 教授 (20344046)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 脳機能 / 血液循環 / 血液脳関門 / 心拍 |
研究開始時の研究の概要 |
「拍動する血液循環は脳にとって必要か否か?」本研究課題は、動物から取り出した“全脳摘出標本と人工血液循環装置”を利用し、以下、3つの問に対する答えを探求する。 (1)拍動流周期のどのタイミングで脳活動を惹起しても 脳の応答は不変か? あるいは、拍動する血液循環が脳の応答に何らかの影響を与えるか? (2)脳活動のゆらぎの一因として、拍動する血液循環の関与があるかどうか? (3)拍動する脳血流は、脳細胞の生存にとって有利なのか不利なのか? 脳実質への拍動流効果についての知見は乏しく、人工心臓の研究開発分野、脳血管性の病態発現機構や創薬の研究分野に対し、有益な情報を提供することを目指す。
|
研究成果の概要 |
これまで脳実質への拍動流効果はよく分かっていなかった。そこで、全脳摘出標本と人工血液循環装置を利用し、脳神経活動への拍動流の影響を検証した。まず、人工血液の拍動循環により、全脳標本の生理活性を5時間維持できる実験系を確立した。次に、拍動血流の異なる位相で外側嗅索に電気刺激を与えて神経活動を惹起し、梨状皮質における神経応答の解析を行った。その結果、局所電場電位記録法による神経応答が、拍動流の位相により変化する現象が明らかになった。本結果は、拍動血流が脳機能をモジュレートする可能性を示唆するものと考えられた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
拍動循環により全脳標本を維持する実験系を確立した。本実験技術は、血液脳関門機能を保存したex vivoモデルとして脳血管性の病態発現機構の研究や、脳を標的とした創薬の研究分野に応用できる可能性がある。また、本研究では、拍動流の位相によって神経応答が変化することが初めて示された。現象のメカニズム解明にはさらなる研究が必要であるが、拍動流が脳機能を調節する可能性を示唆する本研究成果は、脳と心臓の新しい関係を探る第一歩と位置付けられる。人工心臓の研究開発やその脳実質への影響評価の分野においても、本実験技術に基づく脳機能解析の手法が有益な情報を提供できる可能性がある。
|