研究課題/領域番号 |
19K23001
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
高木 駿 一橋大学, 大学院社会学研究科, 研究補助員 (90843863)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 美学 / 哲学 / カント / 醜の美学 / 感情 / 認識論 |
研究開始時の研究の概要 |
近代まで美の欠如と見なされてきた「醜」は、現代に入り美しくない芸術作品の登場とともに、作品を構成する一つの要素として積極的意義を担わされるようになった。現代美学は、醜に崇高さを惹起する効果があることを解明したが、これにより、すべての種類の醜さが明らかにされたわけでも、ましてや醜の体系的理解が得られたわけでもない。 そこで、本研究は、「醜の美学」の体系化に向け、第一に、醜さを類型化し、第二に、別種の醜さの体系性を明らかにする。そのために、18世紀ドイツの哲学者I・カントの美学を用いる。というのも、カント美学では、不快の感情に基づいて、種々の醜さを分類し、それらの体系性を考察できるからである。
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研究成果の概要 |
本研究は、18世紀ドイツの哲学者I. カントの『判断力批判』(1790)において展開された美学理論に基づいて、醜さにはいかなる種類があるのか、そして、それらの醜さはいかなる関係にあるのかを明らかにすることを試みた。それにより、「醜の美学」の体系化へ向けた準備を行った。本研究は、私たちが醜さを言明する際に感じている感情(不快の感情)に着目し、その違いから醜さの分類を行った。また、感情を生み出す心の状態とそれを形成する認識能力の働きを軸に、種々の不快の感情および醜さの関係性を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、これまで「美しさの美学理論」として研究されてきた、『判断力批判』に代表されるI. カントの美学を、「醜さの美学理論」として捉え直すという独創的な学術的意義を持つ。また、単に一種類の醜さの概念だけでなく、複数の醜さとそれらの関係性を問題にする本研究には、私たちが素朴に直面する醜さやそれに関連する表象が何であるのか、直感的なものを学術的に明らかにするという社会的意義をあげることもできる。
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