研究課題/領域番号 |
19K23003
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
筒井 忠仁 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20851322)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 岩佐又兵衛 / 松平忠直 / 浮世絵 / 洛中洛外図 / 風俗画 / 誓願寺門前図屏風 / 舟木本洛中洛外図屏風 / 古浄瑠璃絵巻 / 又兵衛伝承 / 村松物語絵巻 / 大英博物館 / チェスター・ビーティー・ライブラリー / 工房 / 古浄瑠璃 / 豊国祭礼 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、次の方法によって進められる。まずは、画家の伝記研究である。近年疑義が呈されている彼の出自を史料から再検討する。また併せて、彼の自筆の紀行文『廻国道の記』を精査して、彼の文学的素養を解き明かす。 次に、作品の再検討を行う。彼の作品の中には、雑種画題と呼ばれてきた、和漢の故事からいくつかの題材を選び、それらを一つの屏風や絵巻のなかに並立させた作品群が存在する。これらの作品の制作背景について、雅俗の融和という新たな規範の形成という観点から明らかにする。こうした研究を通じて、文学世界の動向と又兵衛の作品との結びつきを明らかにし、時代の動向から見た新たな又兵衛像を提示することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究においては、岩佐又兵衛及び松平忠直に関する江戸時代の伝承を精査するとともに、明治以降の研究史を丹念にたどり、伝承と史料的な事実を慎重に区別するよう努めた。次に、個々の作品のモチーフを観察し、そこに込められた作者の意図を分析し、作家の生い立ちとは別の制作背景を読み解くことを試みた。さらに、様式の分析から作品の制作年代を見直し、時代の動向と作品とを結びつける作業を行った。こうした作業により、これまでとは異なる作品理解を提示するとともに、今後の議論の前提となる様々な客観的事実を指摘したことが私の研究の成果である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、かつて浮世絵の祖と言われた岩佐又兵衛の伝記と作品を総合的に検証した。その結果、又兵衛と浮世絵とは、複雑な経路を辿って結びついており、単純に祖であるとは言えないが、無関係でもないことが明らかとなった。また、岩佐又兵衛が、雅なものを卑俗なものに変換するという、絵画史上における美学的な転換において重要な役割を果たしていることも判明した。江戸文化の特徴である雅俗融和の源流を探る上で、岩佐又兵衛が果たした重要な役割を明らかにした点で、本研究は学術上の意義を持つ。
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