研究課題/領域番号 |
19K23008
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藪田 淳子 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (60844991)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | コンラート・ツェルティス / ドイツ人文主義 / 風景画 / ドナウ派 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はドイツの人文主義者コンラート・ツェルティス(1459―1508年)の『愛の四書』(1502年)の木版画挿絵全10点の意味を解明し、カタログ化するものである。『愛の四書』は、山脈や川でゆるやかに規定されるドイツの風景が詩文と挿絵で表された最初の例で、神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアン1世へ献呈され、帝国内の知識人にも広く読まれた。この『愛の四書』挿絵を実見して目録化し、図像学の観点から詳細に分析することで、各挿絵を「ゲルマニア図像」として解読し、その図像の意味や源泉を探る。それによって同書が、ドイツ郷土意識と、風景画成立につながるような自然観にいかに影響したのかを考察する。
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研究成果の概要 |
『愛の四書』はドイツ各地に所蔵されており、挿絵ではドイツ独自の寓意的な表現がみられることから、現地において次のような調査をした。まずドイツで『愛の四書』の各版を実見して、挿絵や刷りの状態の異同を確認した。その結果、各版の書き込みや刷りの状態、彩色の有無、含まれる挿絵の相違が明らかになった。 次にミュンヘンの中央美術史研究所で、16世紀ドイツの風景表現並びに寓意表現や神話図像に関する資料を渉猟した。『愛の四書』挿絵にはドイツの風景を表したものと、詩文に関連した神話図像があるが、ツェルティスが参考にしたと思われるイタリアの作例と比較しながら、ドイツ独自の神話図像・風景表現としての意味を検討した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、ドイツ人文主義の第一人者、コンラート・ツェルティスの『愛の四書』(1502年)挿絵のカタログ化を目指し、その意味内容を分析した。『愛の四書』とは、1500年頃のドイツにおける郷土意識の高まりを反映して、ドイツの風景をはじめて包括的に、詩文と挿絵で賛美した書である。 今回の調査によって、『愛の四書』と「ドイツ的な」風景に対する意識との関わりについて検討し、これまで手薄であった16世紀ドイツの風景画研究に貢献することができた。
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