研究課題/領域番号 |
19K23009
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
川上 恵理 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (10844813)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 神聖ローマ帝国 / 複製版画 / 西洋美術史 / マニエリスム / 北方ヨーロッパ / 版画 / 美術史 / プラハ / ヘンドリック・ホルツィウス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世のプラハ宮廷における版画の地位を明らかにすることにある。プラハ宮廷は、宮廷芸術家による版画の原画制作や、皇帝による版権発行とそれに起因する版画の継続的収集によって版画史上大きな役割を果たした。しかし、従来の北方版画研究では版画制作・出版の中心地であるネーデルラントに注目が集まり、プラハ宮廷における版画の包括的研究が不足している。そこで、本研究では、すでに皇帝が手仕事でなく芸術と認めていた絵画の地位と比較しながら、同時代の美術理論書での版画の評価や宮廷での版画家の社会的地位等の調査を行い、プラハ宮廷における版画の評価や位置付けを明らかにする。
|
研究成果の概要 |
本研究では、16世紀末から17世紀初頭の神聖ローマ皇帝ルドルフ2世のプラハ宮廷において版画がいかなる位置付けと評価を得ていたかを明らかにすべく、版画家に関する同時代史料と宮廷周辺の版画の調査を行った。特に、ルドルフ2世が版画家に対して発行した印刷特権授与の様相を検証することで、版画家の評価・位置付けのみならず、当時の版画制作においてプラハ宮廷が果たした役割の大きさをも具体的に明らかにした。さらに、近年の研究成果にもとづき、複製版画が絵画の単なる複製でないことを前提として複製版画の見直しも図っている。原画から描写が変更された複製版画を調査した結果、変更点の意味や翻案者について一定の説を提示した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、従来の版画の制作・出版地を中心とした見方とは異なり、神聖ローマ帝国の制度や宮廷芸術家の活動をとおして、プラハ宮廷を中心に広がる版画のネットワークで帝国、ひいては北方の版画制作を捉え直している。その点にくわえ、複製版画の見直しが進む近年の研究動向を踏まえて帝国の版画を改めて解釈した点に、とりわけ学術的意義をもつものである。
|