研究課題/領域番号 |
19K23012
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川村 悠人 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (50739068)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 古代インド / ヴェーダ / サンスクリット語 / 語源学 / 通俗語源 / 神学 / 火神 / ヤースカ / ヴェーダ語 / サンスクリット / 雷神 / 太陽神 / 文法学 |
研究開始時の研究の概要 |
古代インドの語源学者ヤースカが著した『語源学』は、神々への讃歌集『リグ・ヴェーダ』に現れる難語の語源説明を企図した作品である。このような作品の性格から、『語源学』で展開される言語理論ばかりがこれまで注目を集めてきたが、『語源学』は言語学的な議論のみに終始する作品ではない。ヤースカは『リグ・ヴェーダ』に現れる神々の名の語源説明を行う際、それに伴って、神々が織りなす世界の構造を体系的に叙述している。宗教的理由から、とりわけ火に関わる神々がヤースカ神学の枢軸をなす。本研究は、ヤースカの神界観の考察により、古代世界に生きた人々による世界理解の仕方について新たな資料と知見を提供しようとするものである。
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研究成果の概要 |
本研究は、紀元前5世紀から4世紀に活躍した古代インドの言語学者ヤースカが、サンスクリット語文献『語源学』にて展開する神学を解明しようとするものである。具体的には、彼の神学体系において主要な位置を占める地上の火神(祭火)、中空の火神(雷光)、天の火神(太陽)をめぐる彼の神学的議論の内実を明るみに出そうとするものである。本研究により、それぞれの火神の性格と位置づけが明らかとなった。本研究の成果は、一流の海外学術雑誌であるJournal of the Royal Asiatic Societyに公表した英語論文と、2021年度中に出版予定の学術書に集約されている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
1800年代に『語源学』の校訂本が出版されて以来、これまでの研究はヤースカが『語源学』で示す言語理論の解明に集中してきた。ヤースカが示す神名の語源解釈と神々の生態を考察する本研究は、これまでの『語源学』研究に欠けていた視点を補うものである。また、いかなる文化体系においても何かしら神的な存在をめぐる思索が連綿となされてきたであろうことを考えれば、ある古代の思想家が神々のあり方や役割をどのようにとらえたかを明らかにすることは、文献学、神話学、宗教学、歴史学、民俗学、文化人類学といった広く人文学領域の研究にとって、多種多様な文化体系の根幹を理解する上で新たな資料と知見を提供するものとなりうる。
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