研究課題/領域番号 |
19K23015
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
小野 純一 自治医科大学, 医学部, 講師 (20847090)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 言語論 / 想像力 / 井筒俊彦 / イメージ / 心象 / 意味論 / 哲学 / 言語哲学 / 認識論 / 言語学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、想像力(イメージ喚起機能)に関わる内包的意味を井筒俊彦『言語と呪術』や「言語学概論」の講義ノートを参照し、井筒の考察を明らかにしつつ、その議論を心理学・言語学・言語哲学の最新の知見によって批判的に検討し直すことで、言語と想像力の関係をめぐる考察に寄与しようとする。それによって井筒俊彦を特徴付ける独自の哲学的意味論がいかなるものであり、いかなる意義を有し、いかなる可能性を持つか示すとともに、想像力において言語的意味がどのように作用しているのか明らかにしようとする。
|
研究成果の概要 |
井筒俊彦は初の英文著作『言語と呪術』で、意味の内在的な側面を生物学、人類学、心理学、言語学、論理学、哲学の当時最新の理論を用いて論じる。彼は伝達や指示として心的働きが外在化する前の心的過程を意味構成として記述する。また彼は、外在化される前の意味形象が、心象・想像として認識を規定し、外在化されない意味は心象喚起機能・想像力の基礎となると捉える点も判った。また講義ノートと比較し、井筒がソシュールの伝達・指示の記述を批判し、ベルクソンの記憶イマージュを導入したと判った。ベルクソンは言語を記憶イマージュが一般観念になる前の水準に定位するが、井筒は言語生成の場を意味の内在的な構成過程に見ると判った。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は『言語と呪術』が、伝達や指示ではなく、心的過程としての意味構成を記述することを示した。歴史研究として次の二点が挙げられる。第一に、中期井筒がアラビア語の意味連関を記述するにあたり、その方法論的立場として意味構成を心的過程としたことが判った。第二に、中期から後期にかけて井筒は、意味構成の間主観的側面を探究するが、その出発点も『言語と呪術』と言語学講義ノートから判った。これによって、日本思想史の一角をなす井筒の言語思想の形成が実証的に示された。体系研究としては、想像力を言語的意味の出現に捉える独自の立場が示された。これは多様な人間活動の基礎をなす想像力の意義を基礎付けるものだと言える。
|