研究課題/領域番号 |
19K23016
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
渡部 麻衣子 自治医科大学, 医学部, 講師 (60736908)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 合成志向性 / 技法 / 社会的関心 / 胎児 / 超音波画像診断機 / Nuchal Translucency / 視覚化技術 / 技術死生学 / ジェンダー / 工学技術 / 超音波検査 / 胎児視覚化 / 超音波画像診断法 / 観察研究 / 視覚 / 技術倫理 / 超音波診断装置 |
研究開始時の研究の概要 |
NT(Nuchal Translucency)とは、超音波検査で胎児を真横から見た時に、胎児のうなじ付近に観察される特定部位です。この部位の厚みとDown症の出生との間には統計学的に有意な関連が認められるため、各国で、Down症を対象とした出生前検査の一つとして、NTの測定が行われてきました。本研究の目的は、特定の条件下で観察した胎児の画像にのみ現れるNTが発見されるまでの経緯を、「合成志向性」という概念を用いて史料を分析することで明らかにすることを目指します。本研究を通して、「合成志向性」という概念の精緻化を目指すと共に、出生前検査を考察するための新しい視座を提示したいと考えています。
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研究成果の概要 |
本研究は、超音波画像上の胎児の首の後ろに妊娠中の一時期にのみ観察されるNuchal Translucencyの「発見」過程の分析を通して、人と技術の相互的関係性によって生成される「合成志向性」を構成する要素として、これまで十分に指摘されてこなかった技術を用いる「技能」と、技術の社会的文脈を基礎づける「社会的関心」の重要性を指摘した。これにより、Verbeekの提起した「技術の道徳性」をめぐる議論において、これまで主に着目されてきた技術のデザイン過程の外にある、人の主体的役割に着目する視座を提示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的成果は、Nuchal Translucencyの「発見」を事例として、Verbeekが提唱した、人と技術が相互に関係しながら生成する「合成志向性」を構成する重要な要素として、技術を使う人の「技能」と技術が使われる社会的文脈を基礎づける「社会的関心」に着眼し、人と技術の相互的関係をより精緻に分析する道筋をつけたことにある。社会的意義としては、NTに象徴されるような、対象を視覚化・数値化して認識させる、人を対象とする現代技術に共通する「合成志向性」の成り立ちを明らかにすることで、技術のあり方をめぐる社会的議論に有用な視座を提供した点にある。
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