研究課題/領域番号 |
19K23017
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
林 禅之 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (90846867)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 道徳エンハンスメント / 痛み / 拡張した心 / 情動 / 合理性 / アイデンティティ / 環境 / 心の哲学 / 応用倫理学 |
研究開始時の研究の概要 |
人間の道徳能力を人為的に向上させることは、「道徳エンハンスメント」と呼ばれる。本研究は、道徳エンハンスメントの通常とは別様の方法の可能性とその限界を探る。従来、道徳エンハンスメントの方法として、気分や情動に働きかけることで、道徳性を改善しようとする方針が主に論じられてきている。本研究は、心の科学と哲学の成果を取り入れた最新の情動の哲学の知見を踏まえながら、合理性と情動の関係を再考することで、合理性の増大による道徳エンハンスメントの可能性を探究するものである。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、道徳エンハンスメントについて、主に2つの方面から研究を進めた。第一に、心は頭蓋を超えた事物によっても実現されるという「拡張した心」の議論を参照しながら、道徳エンハンスメントを再考しようと試みた。「拡張した心」のアイデアをエンハンスメントと結びつけようとする哲学者Neil Levyの議論や、それに関連する文献を検討しつつある。第二に、道徳エンハンスメントが人間のアイデンティティに及ぼす影響を引き続き探った。自己の真正性についての文献を整理検討し、道徳エンハンスメントがもたらす影響の含意を探った。 また、痛みについての哲学文献のサーヴェイも継続している。次年度には、これらを成果として発表できるよう、うまく業務の調整をしつつ引き続き研究を進めていく。 今年度までの研究でよくわかったのが、道徳エンハンスメントという研究トピックは、たんに応用倫理学の一トピックなのではなく、そもそも道徳とは何かという問いを背景に持つ、非常に大きな問題だということだ。上述の路線は良い切り口だと思われるが、成果に結びついていないので、引き続き工夫しながら研究を進めたいと思う。 具体的な成果はまだ出ていないが、成果報告のワークショップ開催のための打ち合わせを3月に行なった。今の所、京都大学で9月に開催予定である。発表者の2名(京都大学、名古屋大学)と連絡を取り合い、次は6月に事前打ち合わせを行うことになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
延長を重ね、かなり長期間にわたって研究を続けているが、残念ながら全体的に思うような研究成果は出ていない。投稿論文については定期的な検討会を行なっており、進展が見られるが、アクセプトまでは至っていない。次年度、投稿先を柔軟に考えながら、引き続き成果を出せるように努力していく。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、同じ路線で研究を進める。研究計画にはこれ以上大きな変更はなく、成果を出せるようにできる限りのペースで進めていく。次年度の9月にワークショップを開催する。
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