研究課題/領域番号 |
19K23019
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松谷 芙美 慶應義塾大学, ミュージアム・コモンズ(三田), 講師 (30847760)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 室町水墨画 / 雪舟等楊 / 雪村周継 / 賢江祥啓 / 受容史 / 画人伝 / 菅原洞斎 / 狩野秀水 / 日本美術史 / 模本 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、菅原洞斎を中心とした江戸時代後期の識者の、室町水墨画への関わりを通して、彼らの活動を紐解く、受容史研究である。具体的には、①千秋文庫に所蔵される洞斎らの模本調査、②原典である室町水墨画の調査を土台とし、併せて洞斎の編纂した画人伝をはじめとする著書の記載と模本との関連を考察し、③原典となる室町水墨画の江戸時代後期における流通状況の分析をおこなう。その過程から、洞斎ら往時の識者の思考の拠り所を明確化し、彼らの活動および古典理解を紐解く。本研究で得られる江戸時代後期に流通していた室町水墨画の情報によって、現存作品を中心として行われている室町水墨画研究を補完し、総体的に捉え直すことを試みる。
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研究成果の概要 |
本研究では、菅原洞斎と狩野秀水を中心とした秋田藩絵師の模本調査と、その原本である室町水墨画の調査を通して、模写者の特徴や傾向について考察をおこなった。あわせて、洞斎が編纂した画人伝と模写の関係性を考察し、彼らの思考の拠り所や、その活動を紐解いた。 総体的な分析として、藩絵師の模写資料全体を、原本作者によって分類し、その割合を算出し、工房内の模写の傾向と、洞斎と秀水の模写の傾向を比較した。個別的な考察として、他藩と交渉し、所蔵の古画を借用閲覧している事実をいくつか確認した。そのような事例を汲み取ることによって、洞斎が、『絵師姓名冠字類抄』を編纂する過程を辿った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
江戸時代後期の識者の、室町水墨画への関わりを通して、彼らの活動を紐解く、受容史研究であると同時に、その源流にある室町水墨画研究に資することを目指した研究であった。 研究当初、秋田藩絵師の菅原洞斎や狩野秀水は、美術史学では研究対象とされてこなかったが、近年、江戸時代後期の狩野派や、模写資料への再評価の動きがある。2022年4月の狩野秀水家資料の公開に引き続き、本研究は、美術史学の分野から、菅原洞斎の活動を紐解く初の試みとなった。 また、本研究を通して、雪村研究における『説門弟資云』の問題に対する、ひとつの提議を見出すことができたことは、洞斎らの活動の再評価につながるだろう。
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