研究課題/領域番号 |
19K23022
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
泉 美知子 中央大学, 文学部, 准教授 (00742983)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 大聖堂 / 旅行 / ジョン・ラスキン / マルセル・プルースト / ゴシック建築 / 修復 / 景観 / ノルマンディー / ヴィオレ=ル=デュック / アミアン / 19世紀フランス / 中世 / 文化遺産 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、19世紀フランスにおける「大聖堂」の表象を、「旅」に関わるテクストとイメージを通して考察する。18世紀の特権階級によるグランド・ツアーから19世紀の中産階級によるツーリズムへと移行する旅行文化のなかで、ロマン主義の台頭(北方文化圏への関心)、風景画の隆盛(ピトレスクの美学)を踏まえながら、中世のモニュメントである大聖堂に注がれた眼差しを分析し、ツーリズム時代の観光スポットとなっていく過程を捉える。19世紀前半に刊行された大型出版物から、後半の携行用小型版ガイドブックまでを分析対象とする。
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研究成果の概要 |
本研究は「大聖堂」に注がれた19世紀から20世紀初頭までの眼差しの諸相を問題とする。ヨーロッパでは「旅」は芸術作品の鑑賞体験と深く結びついてきた。「大聖堂」の価値が旅での眼差しを通してどのように見出され、当時の社会の文脈にどのように関連づけられるのかについて、テクストとイメージの分析から明らかにする。分析の対象としたのは、ピクチャレスク・ツアーからツーリズムへの過渡期における、イギリスの美術批評家ジョン・ラスキンと、ラスキンの影響を受けたフランスの作家マルセル・プルーストによる北フランスの旅である。「大聖堂」をめぐる近代の知性と感性のコンテクストを文化遺産の歴史に照らして浮き彫りにする。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
文化遺産の表象に関わる絵画、版画、写真の展覧会が、フランスではこの10年の間に開催されるようになった。文化遺産がこれまでどのように継承されてきたのかということに関心が高まっている証である。そして2019年4月のパリ、ノートル=ダム大聖堂の火災をきっかけに、大聖堂の以前の姿が数々のイメージを通して伝えられた。文化遺産への眼差しを問う本研究は、今日の保護・保存のあり方を歴史的経緯を踏まえて問い直し、その意義を再認識するうえで社会的に貢献できると考えられる。
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