研究課題/領域番号 |
19K23026
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
櫻井 真文 同志社大学, 国際連携推進機構, 特別研究員 (20844096)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | フィヒテ / 道徳論の体系 / 道徳法則 / 道徳感情 / 選択意志 / 純粋意志 / 促し / 具体的倫理学 / フィヒテ倫理学 / 当為 / 自己限定 / 道徳的使命 / 道徳性 / 衝動 / 調和 / 応用可能性 / 具体的義務 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、フィヒテの倫理学における「道徳感情」の体系的位置の精査を通じて、前期フィヒテ倫理学の統合的解釈モデルを構築するというものである。これにより、道徳原理を具体的な生の次元へ適用する際の媒介となる「感情」が、カントの自律倫理学をさらに発展・深化させるための鍵概念になることが明らかになる。それゆえ本研究は、感性と理性の合流地点としての道徳感情をドイツ古典哲学の文脈で論じるものであり、具体的倫理学の地平を切り拓く研究である。
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研究成果の概要 |
本研究では、ドイツの哲学者フィヒテ(1762-1814)の倫理学に解明に取り組み、感性と理性の合流地点である「道徳感情」が、道徳的行為の実現可能性の要石であることを明らかにした。本研究を貫く問いは、フィヒテ倫理学において道徳感情はいかなる体系的位置を占めるのか、というものである。本研究では、道徳感情の構造解明と、道徳感情と義務の連関規定に取り組んだ結果、フィヒテ倫理学における「道徳感情」が人間の純粋に理性的な次元と、経験的・具体的次元を媒介するものであり、前期フィヒテ倫理学の統合的解釈を可能にする重要概念の一つであることが究明された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の学術的意義は、「能動性中心の形式主義的倫理学」という従来のフィヒテ倫理学解釈に一石を投じる仕方で、フィヒテの「具体的倫理学」の全貌を描出した点に存する。また、近年フィヒテの中心的著作と見なされてきている『新しい方法による知識学』と『道徳論の体系』という著作間の密接な連関を明らかにした点にも、十分な学術的意義が認められる。さらに本研究の社会的意義は、道徳感情の普遍性と陶冶可能性をドイツ哲学の枠組みで確証したことで、教育現場における理性主導的な「道徳感情教育」の理論的基盤を提供した点に存していると言えよう。
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