研究課題/領域番号 |
19K23038
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 国際日本文化研究センター (2022) 名古屋大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
郭 佳寧 国際日本文化研究センター, 総合情報発信室, 特任助教 (00848731)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高野山 / 院政期 / 顕密仏教 / 覚鑁 / 大伝法院 / 寺院空間 / 宗教言説 / 鳥羽院 / 中世日本 / 宗教文芸 / 往生伝 / 中世宗教文芸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は宗教テクストの読解と分析(新資料調査及び既存資料の再検討)を基本作業とし、中世高野山、特にそこで活動した人々に注目し、宗教文芸の視座から、中世日本における顕密仏教の実態、及び顕密体制そのものを見直そうとする。また、本研究は政治・社会・宗教などの歴史的位置付けを重視する歴史学研究に対し、宗教テクスト学、及びその体系を正しく認識することで、宗教テクストの読解と分析により、歴史を再認識することを意図する。
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研究成果の概要 |
本研究は中世高野山の宗教世界について、宗教者の実践活動、寺院空間にあらわれる教学と信仰のあり方、宗教言説の成立と展開の3つを軸に研究を進めてきた。代表者は大伝法院の創建過程における覚鑁の真言教学の理念と鳥羽院の宗教政策を考察し、大伝法院建立の意義と位置づけを論じた。また、大伝法院本堂の内部荘厳を考察し、真言教学はいかに儀礼の場に表象されていたのかを明らかにした。それに『高野山往生伝』への分析を通して、中世高野山の霊地信仰の在り方を窺うことができた。更に、覚鑁における不動明王説話を取り上げ、大伝法院の法流移転という重要な問題が宗教言説においてどのように語られ、展開されていったのかを検討した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、政治・社会・宗教などの歴史的位置付けを重視する歴史学研究に対し、宗教テクスト学及びその体系を正しく認識することで、歴史を再認識することを可能にした。また、宗教文芸という概念を活用することによって、既存の研究分野にとどまらず、より広い視座のもとに宗教文化諸分野の専門や海外でも共有でき、国際的な研究に寄与することも可能であると考える。 また本研究の社会的意義として、中世日本の宗教文化の豊かさと多様性の認識に貢献することが挙げられる。顕密仏教が政治史や宗教史の範疇を超え、文学・美術・儀礼など多岐にわたる要素が含まれ、宗教文化が介した日本人の「心性」への社会的関心が一層高められるであろう。
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