研究課題/領域番号 |
19K23040
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡村 弘樹 京都大学, 文学研究科, 助教 (90848110)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 一段活用 / 二段活用の一段化 / 四段動詞の下二段化 / 形容詞型活用 / ミ語法 / 抄物 / 動詞の自他 / 文法史 / 上代語 / 中世語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は古典語動詞を対象とし、奈良時代における一段活用の実態解明と、鎌倉時代から室町時代における「二段活用の一段化」進行状況の把握を主たる目的とする。一段活用は他の活用に見られない特徴を複数有し、他の活用と同列に扱い難い。しかし一段活用には使用頻度の高い動詞が所属し、更に古代から現代にかけて勢力を大きく伸ばす。そのため、一段活用は動詞の活用体系の中でも極めて重要な位置にあるといえ、その特徴の解明は動詞の活用体系全体に対する把握や解釈に資するところの大きいものとなる。 そこで本研究では「奈良時代において上一段活用の終止形末尾はイ段音であった」という仮説に基づき、一段活用の諸特徴の解明を試みる。
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研究成果の概要 |
本研究では上一段活用に関する諸問題を扱った。まず、「瀬を早み」等に見られるミ語法の「み」を形容詞型活用の活用語尾でありながら動詞「見る」に由来するものと考え、「み」に様々な用法があったこと、「み」が他の活用語尾より先に成立した可能性があることを指摘した。続いて、『玉塵抄』を調査し、「二段活用の一段化」が、「読むる」や「言ふる」のような四段活用が下二段化した動詞に偏って見られることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、奈良時代における上一段動詞「見る」と形容詞型の活用との関係を検討し、中世に見られる「二段活用の一段化」に四段動詞が下二段化した動詞が積極的に関わった可能性を指摘した。一段活用は動詞の活用体系の中でも重要な位置にあるにもかかわらず、研究で重点的に取り上げられることは稀である。そうした状況において本研究の成果は、新たな見方を提示して動詞の形態に関する議論の活性化を促す役割を果たし、例外とされてきた事象の解明にも資するところがあると考える。
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