研究課題/領域番号 |
19K23050
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
中野 綾子 明治学院大学, 教養教育センター, 助教 (80764894)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 日本文学 / メディア / 出版文化史 / 読書 / 慰問雑誌 / アジア太平洋戦争 / 兵隊 / 軍事援護 / 改造社 / 戦線文庫 / 近代文学 / 図書 / 読者 / 書物 / 出版史 / 日本近代文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、東アジアにおける将兵の読書環境の歴史的な変化を総合的に明らかにすることを目的としている。そのために、将校や兵士たちによる読者行為を実証的に明らかにしていく必要がある。そのために、兵士のための読み物である慰問雑誌(『陣中倶楽部』『戦線文庫』『銃後の大阪』等)の調査研究をおこなう。また、将兵へ書物が届くまでの流通にも注目して調査をすることで、どのようにしていかなる読書がおこなわれていたのかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、「将兵という読者」がいかなる読者であったのかを実証的に明らかにし、東アジアにおける文学状況・読書行為の歴史のなかに位置づけることを目的とし、そのために、読者としての将兵のために製作された慰問雑誌に関する調査・分析をおこなってきた。その結果、「兵隊という読者」が、軍部からは具体的に統制すべき読者として、さらに世界へと仮想的に喧伝すべき読者として構想される二面性を持っていたこと、そして銃後においては、地方版ではより具体的に顔を見える読者としての兵士がまなざされていたことを明らかにした。これら複雑な読者としての兵士をめぐる作品内容の分析を今後の課題としたい。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
戦時下の読書行為については、これまでその行為自体が総じて困難なものとして語られ、詳細な研究は少ないのが現状である。なかでも、将校や兵士による読書行為については、その傾向が顕著である。敗戦後、占領期の民主化推進の影響を受け、学徒兵の読書行為が戦争に対する「抵抗」として語られていく一方で、そのほかの将校、とくに一般兵たちによる大衆的な読書行為は等閑視されてきたと言える。その点で、本研究はそうした認識に疑義を呈し、将兵によって行われた読書行為を、史料から実証的に調査し、その内実を明らかにする点で意義があるといえる。
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