研究課題/領域番号 |
19K23051
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
|
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 和彦 明治学院大学, 文学部, 准教授 (90846015)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | ロマン主義 / ニザール / サント=ブーヴ / ユゴー / ボードレール / 啓蒙思想 |
研究開始時の研究の概要 |
フランス・ロマン主義の全貌を理解するには、古典主義の17世紀とロマン主義の19世紀という従来の二項対立の枠組みを拡張すべく、両世紀間に挟まれた18世紀という第三項に着目する必要がある。18世紀は17世紀の延長なのか、それとも19世紀の前兆なのか。本研究は文学史的にきわめて重要なこの問いに答えるものである。19世紀の文学者たちが18世紀文学をどのように理解していたのかを検討し、彼らの18世紀文学観がロマン主義の思想形成に及ぼし得た影響を考察することで、フランス・ロマン主義の成立過程を解釈しなおすこと。以上が本研究の概要である。
|
研究成果の概要 |
19世紀前半に隆盛をみたフランス・ロマン主義文学の思想的展開をたどるべく、とりわけ1830年代を中心に古典主義とロマン主義がどのような敵対関係のなかで各々の自己像を形成していったかを明らかにした。具体的には、サント=ブーヴやユゴーらがアンドレ・シェニエやジャン=ジャック・ルソーらの作品をどのように理解したか、あるいは、ボードレールを事例としてロマン主義詩がどのような発展を遂げたかを明らかにした。さらに、19世紀の文学史家デジレ・ニザールが18世紀までのフランス文学史のアプローチを刷新しつつ、いかにして古典主義の再生を企図していたかを解明した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来のロマン主義研究では特定の作家を対象とする作家研究が主流であったのに対し、本研究では特定の作家ではなく、ロマン主義時代全体を形成した多くの作家や批評家の言説に着目した。これにより、ロマン主義という概念がロマン派の勝利宣言のなかだけに見出されるのではなく、さまざまな言説のダイナミズムのなかで形成されたことを明らかにした点に本研究の学術的意義がある。また、ロマン主義という文化潮流が、ひとえにロマン派という歴史の勝者だけでなく古典派という敗者の言説によっても形成されていたという事実を明らかにする本研究は、歴史一般の成立を再考するうえで有意義であり、この点において社会的意義をもつものである。
|