研究課題/領域番号 |
19K23056
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
高井 龍 大谷大学, 文学部, 助教 (80711308)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 維摩詰所説経講経文 / 祇園因由記 / 敦煌文献 / 写本研究 / 敦煌 / 講経文 / 維摩経 / 祇園精舎建立説話 / 講唱体 / 写本 / 降魔変文 / 仏教 / 維摩詰所説経 |
研究開始時の研究の概要 |
1900年に敦煌から発見された文献は、特に9、10世紀頃の写本を中心とする。それらの多くは当時の僧侶が儀礼や講釈の場で実際に使用したものであり、世界的にも稀有な資料群となっている。しかし、中国の文献伝承は版本を主としてきたことが起因して、写本に対する文献学的研究は、現在なお多くの課題を残している。 本研究では、敦煌文献の中でも仏教講釈と密接に関わる「祇園因由記」と「維摩詰所説経講経文」を中心に取り上げ、講釈の実態を写本学的な文献研究によって明らかにするとともに、文献の書写から伝承に至るまで、なお写本を主とした時代に、いかに仏教が講釈され、またそれがいかに文学の発展に関わったかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、敦煌文献の中でも仏教講釈文献と儀礼文書中の文学文献の利用を明らかにした研究である。敦煌文献は、9、10世紀の写本を多く残すが、中国の古典文献は多くが版本によって伝承されてきたため、写本研究は十分に行われていない。4点の写本を残す「祇園因由記」は、『維摩経』の講釈と関わりも深いが、各写本の内容には相互に一致しない面がある。この問題について、写本研究により、利用の場に応じて内容が書き換えられていることが明らかとなった。また、『維摩経』の講経文では、3点の写本を通して、書写過程や利用の場から、写本そのものの利用状況と仏教儀礼における利用状況について、大英図書館の調査を通して明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中国では、宋代以降徐々に版本が浸透していくが、唐代はなお写本による文献の伝承が主とされた時代である。しかし、中国の古写本は残存数が極めて少ない。敦煌文献は、そのような中にあって極めて特異な資料群である。今回の研究課題として取り上げた4点の「祇園因由記」と3点の「維摩詰所説経講経文」は、いずれも当時の敦煌の仏教界において主要な仏教文献として利用された文献である。それらの写本としての特徴を解明することは、写本時代における中国の文献と知の伝承の理解にも資する成果であり、当時の仏教と文学の実態を新たな角度から明らかにした意義を持つ。
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