研究課題/領域番号 |
19K23078
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 中央大学 (2023) 高崎経済大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
八木 はるな 中央大学, 理工学部, 准教授 (40845806)
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研究期間 (年度) |
2023-02-26 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | セクシュアルマイノリティ / ジェンダー / アダプテーション / 香港 / 台湾 / 中国アイデンティティ / 香港文学 / 台湾文学 / ナショナリズム / 郷土 / 白先勇 / 郭良蕙 / 台北人表象 / 陳冠中 / 台湾文学の系譜 / 白先勇文学の受容 / 「台北人」表象 / 翻案 / 受容 / 国家アイデンティティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1970・80年代香港における台湾文学の受容について分析することで、香港意識の生成期にあった市民感情の重層性を明らかにせんとするものである。香港における台湾文学の受容については、台湾文学の戯曲化や映画化、すなわち文学の翻案(アダプテーション)という視座から分析する。本研究を通して、香港文化と台湾文化との間にいかなる連動性があるか、また文学を翻案することと国民意識を形成することの間にいかなる関係性があるかを考察し、中国語圏現代文学の受容研究、並びに翻案研究の発展に貢献したい。
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研究実績の概要 |
香港で、主に1970、1980年代の演劇の状況について、資料調査を行った。その結果、1970年代の香港の演劇界ひいては芸術界で中国の物語が「我々の物語」としてある種再発見されるなか、台湾、あるいは白先勇の物語が選ばれやすいという事実をあらためて確認した。中国の物語へとシフトするという流れを作っていたのは、大きくはイギリス植民政府であるし、実際のアクターとなったのは、当時の青年学生たちであった。彼らの、香港アイデンティティの模索が、いかに台湾の文学の解読と繋がっているかが大まかに見えてきた。今後、さらに整理を進めて、研究会等の報告で成果を発表する予定である。 一方で、白先勇の文学がいかに台湾で読み継がれているか、を香港においてはどうかというテーマとの接続を念頭に置きながら一般向けに伝わりやすい言葉で整理した(業績表の通り)。そのことは、セクシュアルマイノリティをめぐる台湾の言説が、現代香港において、どのように接続され、拡散されているかを考える第一歩となった。その意味で本研究テーマとつながる研究成果であると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本科研費の初年度よりは進行したものの、23年度は大学教育・研究の場に復帰した年だったので、諸事情から、本研究に割いた時間、香港で資料調査できる時間が十分とはいえなかったため。他方で進めている翻訳書にもある程度時間を使う必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
まず、上の研究実績で述べた香港資料調査の結果(香港青年演劇界における台湾文学の受容と香港アイデンティティの模索)というテーマで報告論文をまとめる。その上で、香港における他に並行している台湾関連の研究と接続しながら、研究計画に沿って、別の角度から香港文化界における香港アイデンティティと台湾アイデンティティの交錯点を探し、明らかにしたい。国内のみならず、国際学会等でも、より広い視点から研究発表を行いたい。
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