研究課題/領域番号 |
19K23080
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
明田川 聡士 獨協大学, 国際教養学部, 専任講師 (30844203)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 台湾 / 台湾文学 / 戦争記憶 / アジア・太平洋戦争 / 戦後 / 世代 / 東アジア / 太平洋戦争 / 歴史 |
研究開始時の研究の概要 |
戦争と文学というテーマは、東アジアの在り方、その後の人々の意識や価値観の変化と大きな関係を持つ。太平洋戦争は世代の異なる多くの台湾人作家が題材とし、読者に幅広く読まれてきた。 本研究では、①戦後台湾文学における「戦争記憶」をめぐる作品について、三名の台湾人作家(陳千武、李喬、呉明益)による太平洋戦争にまつわる小説を読解し、その多元的な出現を解明する。②戦後台湾文学を70年の時間軸で捉え、「戦争記憶」の問題を扱う台湾文学が如何にして受容されてきたのかを問う。③多元的な創作の出現と読者の受容が如何なる社会的意味を持つのかを調査し、文学作品における「戦争記憶」が台湾人にもたらした意味を考察する。
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研究成果の概要 |
本研究では,戦後台湾文学における代表的作家の「戦争記憶」をめぐる問題を世代でわけて解きあかし,さらにその成果の一端として学術書『戦後台湾の文学と歴史・社会――客家人作家・李喬の挑戦と二十一世紀台湾文学』(単著・関西学院大学出版会,2022年)を発表することにより,戦後台湾文学における「戦争記憶」に関する基礎的研究を進めた.その中でも特に指摘できるのは,とりわけ戦争経験のない新しい世代が描き出す物語は,戦争の代償を厳しく指弾するものではなく,世代や省籍,あるいは族群といった現代台湾社会に残る垣根を越えながら東アジアの融和を見据えて「戦争記憶」を継承するものであったことである.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年,日本と台湾では経済・文化面での交流が深まり,相互の理解も進んできた.ただし,アジア・太平洋戦争の記憶をめぐる解釈のちがいは,双方で誤解を生む原因にもなることが予想される.そこで本研究では,台湾で生きる人々の感情や意識をくみとることを目指して,台湾人作家の「戦争記憶」をめぐる作品を作家の世代でわけて読み解き,戦後に「戦争記憶」をめぐる台湾文学作品が多元的にあらわれた意義を解明した.「戦争記憶」を扱う台湾文学が,戦後の国民党による政治的禁制が続いた戒厳令期の時代,さらにはその後の民主化以降の新たな時代に,それぞれいかなる意味を持ったのかを,人と社会,歴史,文学の関係から考察したのである.
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