研究課題/領域番号 |
19K23090
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 南山大学 (2022-2023) 大谷大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
麻生 陽子 南山大学, 外国語学部, 講師 (00844367)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ガリツィア / ハプスブルク / オーストリア / ウクライナ / オーストリア・ハプスブルク / ヨーゼフ・ロート / ポーランド / オーストリア・ハンガリー帝国 / ハプスブルク帝国 / 村物語 / オーストリア・ハプスブルク帝国 / 地方文学 / リアリズム / 19世紀 |
研究開始時の研究の概要 |
近代化へむけて社会全体が大きな変化を遂げた19世紀後半のドイツ語文学における「ガリツィア」や「地方」の描写の分析を通して、数値やデータ等では把握しがたい、同時代状況や住人たちが抱いた理想や願望をあきらかにする。作品理解を深めるためにも、その舞台でもあるオーストリア、チェコ、ポーランドにて資料収集等を行う。異なる文化や宗教、民族、言語が混在した「ガリツィア」にたいする今日の欧州における関心の高さも示すように、共生社会の実現を掲げて議論を始めた現代の日本にも通じる重要な視点の提供も期待できる。
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研究成果の概要 |
本研究では、18世紀末以降20世紀初頭までハプスブルク帝国オーストリア領ガリツィアの描写について研究を行った。ことにガリツィア出身のドイツ語作家ヨーゼフ・ロートの長編『ヨブ』(1930)に登場する東方ユダヤ人のアメリカ移民、さらにはエッセイ『ガリツィアへの旅』(1924)における多民族・多言語が混在したレンベルクの街の様子には、周縁の地方の農民やユダヤ人の貧困やそれにともなうアメリカ移民だけでなく、高揚するナショナリズム、さらにはガリツィア消滅後も言語的・民族的・宗教的な多様性をハプスブルクの多文化共生時代の名残として見出そうとする作家の願望が明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2022年春のロシアによるウクライナへの侵攻以降、ウクライナは世界にふたたび注視されているが、その実態は日本だけでなく欧州のオーストリアでもあまり知られていない。オーストリア領ガリツィアにかんする本研究(とくにヨーゼフ・ロートの『ガリツィアへの旅』の分析)は、ウクライナ西部の言語的・民族的・宗教的な錯綜が常態である現状を、戦間期のテクストから逆照射した。ロシアとは異なるアイデンティティを求めて西欧への帰属を志向するウクライナ西部の現状を、たんに政治的・社会的のみならず、文化的・情緒的な側面から考えるうえでもロートにかんする本研究には社会的意義がある。
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