研究課題/領域番号 |
19K23105
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
黒沼 太一 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員 (10847362)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 上エジプト / 墓地遺跡 / 紀元前4千年紀 / 国家形成 / 土器 / 地域差 / ナカダ文化 / 土器の地域性 / ナイル河下流域 / 墓地出土土器 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、今日のエジプト・アラブ共和国に相当するナイル河下流域河谷部(上エジプト)の紀元前4千年紀前半に焦点を当てる。この時期は先史時代の最終盤であり、人類史でも最初期の国家が形成された特徴ある時期である。本研究の目標は、国家が形成される中で失われたと想定される物質文化上の地域性や多様性を捕捉することにある。具体的には当時の中心地であったナカダ(Naqada)遺跡とゲベレイン(Gebelein)遺跡の墓地から出土・採集した土器の製作技術の変化を比較することで、国家が形成される中で生じた中心地における地域性や多様性の発展と衰微を捉えることを目指す。
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研究実績の概要 |
紀元前4千年紀のナイル河下流域に存在したナカダ文化期前半の土器資料を対象に、博物館および遺跡で実見観察調査を実施した。対象はエジプト・アラブ共和国ケナ県に所在するゲベレイン遺跡とナカダ遺跡の出土資料である。本研究では物質文化の地域差を把握することで、国家形成の初源段階における地域差の実態を捉え直すことを企図した。 2019年度上半期は観察対象の選定作業に充てた。ゲベレイン遺跡の資料は、本研究代表者が参画しているゲべレイン考古学プロジェクト(Gebelein Archaeological Project)の調査隊長から提供された土器の情報をもとに選定した。ナカダ遺跡出土資料は博物館収蔵品目録などから対象を選定した。選定にあたり、黒頂土器(Black-topped ware)を主要な観察対象とした。 年度下半期は資料の実見調査に充てた。10月10-27日に実際にゲベレイン遺跡に赴き、これまでに採集されたナカダ文化期前半の土器片を調査した。また参加期間中に実施した踏査で新たに土器を採集してこれらも調査した。この調査結果は、現在Polish Archaeology in the Mediterranean誌に投稿準備中の「ゲベレイン遺跡2019年秋季調査概報」に寄稿した。 さらにゲベレイン遺跡で得た土器の特徴を相対化して地域差を把握するため、ナカダ遺跡出土土器資料の実見調査を3月にイギリスにて実施した。この調査では16・17日にケンブリッジ大学のフィッツウィリアム美術館に赴き、対象資料をエジプトでの調査時と同様の観察項目で実見・実測・記録した。 調査の結果、予察ではあるが両遺跡では類似した器形であっても製作方法に若干の異同がある可能性を読み取ることができた。現段階では十分な資料数が揃っているとは言い難いものの、今後資料数を増やすことでこの見通しを検証することを計画している。
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