研究課題/領域番号 |
19K23106
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
李 炯周 名古屋大学, 人文学研究科, 研究員 (00844862)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 倭館 / 対馬藩 / 裁判役 / 近世日朝関係 / 近世日朝外交 / 日朝関係 / 日朝交渉 / 善隣友好 / 河内徳左衛門 / 戸田頼母 |
研究開始時の研究の概要 |
江戸時代の日朝関係は平和で友好的な善隣友好関係にあったとされる。本研究は、こうした関係について、「両国間に日常的に繰り返し生じた葛藤や対立が、相互の折衝を通じて解決に導かれて平和で友好的な関係が維持・再生産された」という観点に立って分析と考察を行う。これまでの研究は、日朝間に生じた葛藤や対立が消滅して友好関係が再生産される過程について注目されることがなかった。そのため200年以上にわたって善隣友好の関係が維持され続けた理由を上手く説明しえなかった。これに対して本研究は、日朝間にどのような葛藤や対立があり、どのようにしてそれらが消滅し、友好関係が回復・維持・再生産されたかという過程を追究する。
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研究成果の概要 |
善隣友好関係は絶えず葛藤や対立を内包しつつ維持されていた。200年以上にわたって日朝間で善隣友好の関係が維持され続けたとするならば、日朝両国が葛藤や対立を消滅させ、関係を維持・再生産させるためにどのような工夫を重ねてきたのかという「過程」の究明が必須の作業となる。 上の「過程」を担当したのが対馬藩の裁判役である。裁判役は、対馬藩が朝鮮へ派遣した使者のうち、規則的な外交儀礼を本務とした他の使者とは異なり、日朝間に生じた紛争事案ひとつひとつに即した折衝を本務とした。しかしながら、裁判役に関する研究は不十分である。裁判役を媒介に上記した「過程」を検討する必要がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
対馬藩の裁判役は17世紀を経て、18世紀に入ると制度として機能する役職へ変貌していたことが明らかになった。裁判役はその任命にあたって外交能力が優先的に考慮されていたわけでもなく、いわゆる「外交のスペシャリスト」のような存在ではなかった。しかし、裁判役は「人」ではなく「役職その自体」でも重要な交渉任務を全うできる役職であり、朝鮮側との意思疎通のためには「非正規ルート」の創出まで辞さなかった。「善隣友好」的な近世日朝関係はこうした裁判役によって支えられていたのである。
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