研究課題/領域番号 |
19K23107
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
市原 晋平 神戸大学, 人文学研究科, 助教 (50842423)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 近世史 / 18世紀 / ハンガリー / ロマ/「ジプシ―」 / 中央・地方関係 / マイノリティ / ロマ/「ジプシー」 / ロマ/「ジプシー」 / 西洋史 / 「ツィガーニ」 |
研究開始時の研究の概要 |
18世紀後半におけるハンガリー王国の「ツィガーニ」(ハンガリーの「ジプシー」)に対する政策は、断片的史料に依拠してきた前近代「ジプシー」史の中では比較的豊富な史料を利用できる主題だが、先行研究では中央主導の「ツィガーニ」政策と地域レベルでの対応が別々に扱われ、政策遂行における中央・地方間の相互作用への注目は低い。しかしその内実の検討からは、近年の西洋史研究で広く注目される近世国家の統治実践における中央・地方間関係の一端の解明も期待できる。そこで本研究では、1770-80年代に中央・地方当局間で交わされた関連文書の分析を通じて「ツィガーニ」政策をめぐる両者の協働や対立のあり方を検討する。
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研究成果の概要 |
本研究は、中央集権改革が進む18世紀のハンガリー王国にて「ツィガーニと呼ばれた人々」(以下「ツィガーニ」)に対して展開された統制や法的・社会的「同化」を意図した諸政策の遂行実態を検討し、従来対立が強調されがちな当該期中央・地方関係の一端を、協働や調整の側面も踏まえて再構成することを目指した。Covid-19の世界的流行の前後にハンガリーの文書館等で実施した資料調査の結果、当該テーマに関する史料残存状況を把握しリスト化するとともに、その一部を入手し、それらを用いて、当時のハンガリー王国北中部・北東部諸県を中心に、「ツィガーニ」に関する地方当局の意識や中央当局との意見交換の実態を確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
18世紀ハンガリー王国の「ツィガーニ」に関する研究は、先行研究が地方史料の分析を中心に蓄積されてきたが、中央行政府ハンガリー総督府の史料の調査や活用は十分ではなかった。本研究は、『ハンガリー総督府文書群』所蔵の関連文書の調査を通じ、当該集団をめぐる政策決定者・各実施者の認識の地域差や両者の調整の局面を提示し、中央主導の「ツィガーニ」政策作成・遂行における中央・地方間の関係の一端を解明した点に学術的意義がある。 また、近・現代に構築された前提とともに語られがちな周縁的集団の歴史に前近代の同時代史料を起点に取り組んでいる点で、「歴史の中のマイノリティ」を研究するための方法的議論にも接続できる。
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