研究課題/領域番号 |
19K23115
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山崎 世理愛 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (50844164)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 古代エジプト / 中王国時代 / 副葬品 / 装身具 / 棺装飾 / 葬送儀礼 / 器物奉献儀礼 / 供物儀礼 / オブジェクト・フリーズ / エジプト中王国時代 / 木棺 / 葬送儀礼行為 / 認識 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、古代エジプト中王国時代の装身具を対象に、当時の視点から図像・文字資料および考古資料の分析をおこなうことで、葬送儀礼における各装身具の意味と理想的な役割、そして装身具を用いた実際の儀礼行為を解明する。具体的には、葬送儀礼で使われる理想的な装身具が図像と文字によって示された木棺装飾を分析することで理想面を解明し、その結果を実際の考古資料と比較することで、葬送における装身具利用の実態を追究する。
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研究成果の概要 |
エジプト中王国時代のオブジェクト・フリーズ(棺装飾)に表された装身具の分析から、理想的な副葬装身具の組み合わせを抽出し、実際に装身具が出土した埋葬との比較を行なった。結果、特定の装身具セットが葬送において重要視されたが、実際にそれらを副葬できたのは限られた人々のみであることが分かった。また、実際の埋葬では装身具の種類によって異なる副葬配置がなされ、オブジェクト・フリーズに頻繁に描かれた理想的な装身具セットは特に被葬者の身体近くに副葬されていた。さらに、装身具の組成・配置・棺やミイラマスクにおける描写を総合的に検討した結果、被葬者へ繰り返し装身具を捧げることが意図された埋葬空間が形成されていた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで古代エジプトの装身具は、その精巧な作りや高い芸術性で知られている一方、当時どのような意図のもと副葬されたのかなど、利用に関する具体的な背景は不明確な点が多かった。このような中で本研究は、葬送儀礼に際する装身具利用の理想と実態、装身具を用いた儀礼空間の構造など、装身具が持つ身を飾るという以上の側面を明らかにした。本研究は先駆的な古代エジプトの装身具研究として位置付けられるとともに、見た目の美しさだけではなく、古代エジプトの装身具が当時の社会や文化を一層具体的に復元し得る重要な文化資源であることを改めて強調できたという点でも意義がある。
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