研究課題/領域番号 |
19K23121
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 上智大学 (2022) 同志社大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
山中 美潮 上智大学, 外国語学部, 助教 (70844091)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アメリカ南部史 / アメリカ黒人史 / 市民運動 / 教育 / 人種隔離 / 再建期 / 公立学校 / アメリカ合衆国 / 黒人史 / アメリカ史 / 教育史 / 人種 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、19世紀末アメリカ合衆国南部の黒人市民による公立学校人種隔離反対運動を検討する。従来の人種隔離研究は公共交通機関の分離や黒人参政権剥奪過程の解明に注力する傾向にあった。また教育史では隔離そのものを自明のものとし黒人学校内部の考察に重点が置かれてきた経緯がある。そこで本研究は19世紀末アメリカ南部黒人市民による隔離反対運動を、(1)ルイジアナ州(2)サウスカロライナ州(3)ノースカロライナ州(4)ワシントンD.C.の事例を通じて明らかにする。そして公立学校隔離が奴隷制廃止後のアメリカ人種編成に本質的貢献をしたものの、従来の見解とは異なり黒人が明確に隔離反対を掲げてきたことを論ずる。
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研究実績の概要 |
本研究は、南北戦争(1861-1865年)および奴隷制廃止(1865年)後のアメリカ合衆国(以下アメリカ)南部の公立学校を巡る人種隔離反対運動を、黒人の視点と経験から検討する。アメリカ南部では戦争後に解放された人々の教育に関する権利が社会的、政治的な課題となった。特に、解放された人々が公教育を受けるに伴い、黒人専用の学校が設置されたが、一部の黒人コミュニティは、こうした措置が不平等であるとして人種による学校区分の撤廃を求めた。アメリカ教育史では南部地方における人種隔離そのものを自明とする傾向が強かったため、こうした黒人の声は例外と見なされてきた。そこで、本研究はルイジアナ州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、ワシントンD.C.の南部各地方の事例を検討することで、人種隔離撤廃に関する議論や焦点の差異、各地域における運動の連関について明らかにする。 2022年度は、2019年度末から延期を重ねざるを得なかった四地域での現地調査を行う予定であった。しかし四地域全ての史料調査は時間等の制約があり不可能であった。そのため調査が比較的容易であり、かつ人種隔離反対運動が特に盛んであったワシントンD.C.並びにルイジアナ州の事例に焦点を絞ることとした。現在は、現地調査で得られた史料とこれまで収集してきたデジタル化史料や先行研究と突き合わせ、黒人市民運動の動態を分析している。この結果をもとに、論文を執筆する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究進捗状況を(3)やや遅れている、としたのは、本年度も新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、史料調査の規模を縮小せざるを得なかったためである。だが、本年度はワシントンDCとルイジアナ州で現地調査を行うことができた。この調査旅行で得られた史料をもとに、現在論文執筆を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
四地域の比較研究は時間的・金銭的制約があるため、ワシントンDCとルイジアナ州の事例に焦点を絞り実証的研究を進めていく予定である。
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