研究課題/領域番号 |
19K23122
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
魚津 知克 大手前大学, 付置研究所, 主任 (70399129)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 海洋文化 / 漁具 / 生産力 / 鉄器 / 渡来系移住民 / 祭祀 / 副葬 / 生業 / 生産 / 地域環境 / 瀬戸内海 |
研究開始時の研究の概要 |
釣針や刺突具という漁具が、古墳の副葬品で大きな役割を果たしている。最も古い、大和地域の古墳にも、漁具は副葬されている。だが、これまで大きく評価されることはなかった。一方、前期から中期にかけて首長墳が相次いで海岸近くに築かれる。どうやら、日本列島に王権が成立するにあたり、「海」は不可欠な存在だったらしい。 それでは、漁具の副葬と「海の古墳」とは、どのように関連するのか? 古墳時代の多様な海辺の環境で、葬送と祭祀とはどのように認識されていたのだろうか? 以上の疑問が、本研究の出発点である。そして、全国的な漁具副葬資料の検討、「海の古墳」の現地調査、瀬戸内海沿岸部の地域環境分析を、3つの柱とする。
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研究成果の概要 |
本研究では、古墳への漁具の副葬について、前期から中期を中心に再検討を進め、以下の成果を得た。 第1に.4世紀から6世紀前半にかけての「海の古墳」は、近畿中央部政権と地方政権とが海上ルートで相互に連携して構成される倭王権の統治原理を鋭敏に示していることが明確になった。第2に、6世紀後半から7世紀にかけての「海の古墳」は、中央政府の主導による産業地域分担を基軸として編成された、さまざまな生産-貢納-生業-祭祀組織を反映していることが明らかになった。第3に、「祭と葬との分化」論の考察を基軸とした古墳時代倭王権・地方政権論の構築をめざし、生産用具全体を俯瞰した形で、首長層による地域経営の実態を解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
【古墳時代倭王権・地方政権論の構築】 「祭と葬との分化」論の考察を主軸に、古墳時代倭王権・地方政権論の構築を進めた。特に、祭祀遺構の様相を分析し、近年活発化している地域経営論との接続を試みた。 【漁具副葬資料の再検討】 漁具副葬資料について、出土状況を含めた再検討を進めた。感染症対策の影響もあり、全国遺跡報告総覧(https://sitereports.nabunken.go.jp/ja)等のリポジトリに支援されつつ調査をおこなった。 【海の古墳」を通した日本列島海洋文化論】 同時代の港湾とみなされる河口デルタや潟湖との関連を分析し、埋蔵文化財の調査研究における地理的特性把握の重要性を提起した。
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