研究課題/領域番号 |
19K23129
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0104:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊東 さなえ 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(RPD) (20849608)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | ネパール / 南アジア地域研究 / 文化人類学 / 災害 / 復興 / 地震 / 草の根ネットワーク / 災害復興 / ネワール / 災害人類学 |
研究開始時の研究の概要 |
2015年4月、ネパール中部でM7.8の地震が発生し、9,000人以上が死亡、70万棟以上が倒壊するなど、大きな被害が出た。地震発生直後、政府による災害対応は限定的だったが、一方で、被災者自身による対応が種々の草の根のネットワークを活用して行われた。その後、震災をきっかけに民主憲法が制定され、地方選挙を経て、強力な権限を保持する地方自治体が誕生した。一方で、緊急期に主要な役割を果たした草の根ネットワークも機能し続けている。本研究では、この新たな地方自治体と草の根ネットワークの相互作用を具体的な事例をもとに描出することを通じ、ネパール社会における権力の新たなバランスを明らかにするものである。
|
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症の影響により研究期間を延長した。2022年度後半は状況が改善し、現地調査を実施することができた。現地調査では主として首都カトマンドゥ周辺で震災からの復興状況に関する調査を実施した。また、書籍やパンフレット等の資料収集も行った。その結果、以下の成果が得られた。 ①草の根ネットワークについて:震災以前は全く知らなかった人/土地を対象として活動を行ったボランティアにインタビュー調査を実施することができた。その結果、このような出身地とは異なる場所で活動していたボランティアの特徴として、出身地から進学のために早い段階で遊離したことがわかった。そのことがより広範なエリアで「ネパールのため」に働こうという動機につながったのではないかという示唆が得られた。 ②地方自治体および国家とローカルなコミュニティとの関係:被災した各地のネワールの集落では、世界遺産地区にとどまらない広い範囲で伝統的な景観を維持するべく「伝統的」家屋の再建が地方自治体や国から要請されており、その方針に沿って赤煉瓦に木の窓枠や扉の家が並ぶ街並みが創出されつつあることがわかった。人々は、不満を漏らしつつも、それぞれの予算の枠内で伝統風の家屋を再建しているが、その中で、村と都市の格差、経済格差などの格差や、その土地における主流派との関係性が家屋の見た目という形で可視化される事態が生じていた。 ①の研究成果について、2022年10月にヒマーラヤ地域研究の国際学会であるHIMALAYAN STUDIES CONFERENCE TORONTOにて、②の研究成果について2023年2月に第1回ヒマラヤ研究会(京都大学ヒマラヤ研究ユニット主催)にて発表した。 また、論文として取りまとめ、『環境社会学研究』および『Studies in Nepali History and Society』に投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、昨年度まで予定していた現地調査を行うことができなかったことから、研究に遅滞が生じた。今年度は現地調査を実施することができ、新しい情報も豊富に得ることができたため、来年度の初頭には研究を完遂できる見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
②研究成果の発表を行う。具体的には国内学術誌および国際学術誌に論文の投稿を行い、研究全体の総括とする。
|